■どの言語に翻訳するのかの確認が重要
例えば中国語には「簡体字」と「繁体字」の2種類の文字が存在し、国や地域によって使われる文字が異なります。
- 簡体字...中国本土、シンガポールなど
- 繁体字...香港、台湾、マカオなど
このように多言語翻訳では「ちがう言語に翻訳してしまった」、「中国語の簡体字に翻訳したが、実際は繁体字も必要だった」といった言語選択のミスが起きやすいです。
そのため、どの言語に翻訳するのかをしっかり確認することがポイントとなります。
■何語から翻訳するのかが重要
多言語翻訳では「何語から翻訳するのか」も実は重要です。
翻訳会社が多言語翻訳を行なう場合、日本語の原稿をまずハブ言語として英語に翻訳してからほかの言語へと翻訳することがあります。
例えば、スペイン語とポルトガル語に翻訳する場合には、日本語からまず英語へ翻訳し、次にスペイン語・ポルトガル語に翻訳する、といった順番になります。
ハブ言語として英語翻訳をはさむことで、その分コストも変わってきます。
「直接、日本語からスペイン語とポルトガル語に翻訳した方がコストもかからず早いのでは?」と思われがちですが、実は、日本語からスペイン語やポルトガルに直接翻訳できる翻訳者よりも、英語からスペイン語やポルトガル語に翻訳できる翻訳者の方が遥かに多くいます。
そのため、まずは英語に訳してからスペイン語、ポルトガル語へと展開する方が、多数の翻訳者から適任な翻訳者をすみやかに確保でき、翻訳の品質も担保しやすいなどのメリットを得られます。
■翻訳をすると文字量が変わる
翻訳の際に意外と盲点となるのが、翻訳をすると文字の量が変わることです。
たとえば日本語から中国語に訳すと80~90%ほどに減り、韓国語に訳すと105~110%ほどまで増える傾向があります。
多言語翻訳では、翻訳による文字量の変化により、各言語間でレイアウトがバラバラになってしまいやすいです。
そのため、Webサイトの多言語化やパンフレットの多言語版の作成など、異なる言語間でもレイアウトをなるべく統一したい場合は、翻訳による文字量の変化があることをあらかじめ想定しておき、可能であれば翻訳前の原稿作成段階から準備をすることがポイントとなります。
■世界各国の言語には、日本語にはない特徴がある
世界各国の言語には、日本語にはない特徴があることを把握しておくことも重要なポイントです。
特に、普段見慣れていない言語にも翻訳することが多い多言語翻訳の場合、言語の特徴により思わぬ不具合等が生じるおそれがあります。
例:アラビア語
現在の日本語とは異なり「右から読む」言語です。そのためレイアウトを右揃えにする必要があります。また、アラビア文字は文頭・文中・文末で形を変える特徴もあるため、間違った位置にスペースを入れてしまったり、改行してしまうと、文字の形が不適切になってしまうことがあります。
例:タイ語
改行する際の切れ目によって文章の意味が変わったり、絶対に区切ってはならない文字の組み合わせがあります。また、文字の上下に声調符号という発音のための記号が付くことがありますが、レイアウトソフトによっては声調符号の位置が近すぎたり、離れすぎたりすることがあるので注意が必要です。