翻訳会社で「多言語翻訳」とは、複数の言語に翻訳することを意味します。多言語翻訳には、日英翻訳などの「ひとつの言語への翻訳」にはない難しさがいくつかあります。
今回は、多言語翻訳の依頼を安心してできるように、依頼時に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
Close
翻訳会社で「多言語翻訳」とは、複数の言語に翻訳することを意味します。多言語翻訳には、日英翻訳などの「ひとつの言語への翻訳」にはない難しさがいくつかあります。
今回は、多言語翻訳の依頼を安心してできるように、依頼時に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
多言語翻訳では、どの言語に翻訳するのかをしっかり考えることが重要です。アウトバウンドの場合は「どこの国や地域を対象にした資料か?」、インバウンドの場合は「どの母国語を使う人向けの資料か?」を考えて、言語を決める必要があります。そうすることで、多言語翻訳で起きやすい「ちがう言語に翻訳してしまった」、「ひとつの言語に翻訳すればよいかと思いきや、実際には複数の翻訳が必要だった」といったミスを防げます。
例えば、カナダの公用語は英語とフランス語の2つです。カナダ向けの資料を翻訳する場合、英語とフランス語に訳す多言語翻訳が必要になることがあります。
公用語が複数ある国は実は多く、公用語が10言語以上ある国も存在します。複数の国や地域向けの翻訳はもちろん、特定の国をターゲットとする場合にも、どの言語が必要なのかをあらかじめ確かめておくことが重要です。
国 | 公用語・言語 |
---|---|
インド | ヒンディー語、他に憲法で公認されている州の言語が21言語 |
南アフリカ | 英語、アフリカーンス語、バンツー諸語(ズールー語、ソト語ほか)の合計11言語 |
マレーシア | マレー語、中国語、タミール語、英語 |
シンガポール | マレー語、中国語、タミール語、英語 |
スイス | ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語 |
ベルギー | オランダ語(フラマン語)、フランス語、ドイツ語 |
ルクセンブルク | ルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語 |
ボスニア・ヘルツェゴビナ | ボスニア語、セルビア語、クロアチア語 |
イラン | ペルシャ語、トルコ語、クルド語 |
モロッコ | アラビア語、ベルベル語、フランス語 |
さらに、同じ言語でも、使われる国や地域で違いがあることにも注意しましょう。例えばスペイン語やポルトガル語はヨーロッパや南米で使われますが、それぞれ国によって違いがあるため、翻訳の際には「どの国で使われるスペイン語か?」を確かめる必要があります。
中国語では、「簡体字」と「繁体字」の2種類があり、中国本土、台湾、香港など、地域によって使う文字が異なるので、対象地域を明確にする必要があります。
各国の公用語は、インターネット等で調べればだいたいのことが分かりますが、翻訳会社に依頼する場合には、ターゲットとする国や地域を伝えて相談すると、必要な言語をより適切に選べます。
翻訳会社が、多言語への翻訳を行なう場合は、ハブ言語として英語に翻訳してから翻訳することがあります。例えば、スペイン語とポルトガル語に翻訳する場合には、日本語からまず英語へ翻訳し、次にスペイン語・ポルトガル語に翻訳する、といった順番になります。
英語翻訳をはさむことで、その分コストや納期も変わってきます。それでもわざわざハブ言語となる英語をはさむのは、日本語からスペイン語やポルトガルに直接翻訳できる翻訳者よりも、英語からスペイン語やポルトガル語に翻訳できる翻訳者の方が遥かに多いことが理由です。多数の翻訳者から翻訳者を選定することで、適任な翻訳者をすみやかに確保でき、翻訳の品質も担保しやすいなどのメリットがあります。また、最初に翻訳した英文をしっかりとチェックし、完成度を上げることで、他に展開する言語の翻訳の品質を担保することもできます。
中国語や韓国語へ翻訳する場合は、日本語から直接翻訳するケースが多くなります。これは、日本語・中国語・韓国語には漢字の文化が共通しており翻訳前後でニュアンスや意味合いの変化が小さいことや、翻訳者の数が比較的多いので優秀な翻訳者を確保しやすいことが理由です。
翻訳後の文章は、原文より文字量が多くなったり、少なくなったりすることを想定しておきましょう。例えば、日本語から中国語に翻訳すると文字量は80~90%に減り、逆に韓国語に翻訳すると105~110%に増えます。
文字量が変わると、レイアウトにも大きく影響します。ページ数の増減や図表の位置のずれが発生するため、図表やグラフの大きさを調整したり、文章中のページ数や図表の位置の表記を変更する必要も生じてきます。特に多言語翻訳の場合は、すべての言語版で全く同じレイアウトやページ構成にすることは難しいことを、あらかじめ想定しておいてください。
以下は、アークコミュニケーションズの44言語ページの英語(左)と日本語(右)のレイアウト比較例です。日本語から英語に翻訳したことで、文字量が英語の方が多くなり、レイアウトがずれることが分かります。
特に多言語翻訳をする際には、翻訳による文字量の変化や、レイアウトやページ構成の変更が、本文にも影響を与える可能性が高くなります。英語であれば、社内でも簡単に確認できること(図の位置が変わったから、「上記の図」を「下記の図」に文章を変更する、など)が、他の言語では難しい場合も多いです。
翻訳会社の中には、多言語翻訳のレイアウト修正やチェックには対応できない会社もあります。多言語翻訳を依頼する際には、レイアウトソフトの対応可否や、レイアウト修正後のチェックまで対応できるかを確かめておくことをお勧めします。
アークコミュニケーションズでは、多言語翻訳をする前に知っておきたいヒントを翻訳会社の視点からまとめた小冊子『多言語翻訳を成功させる7つのヒント』を無料でご提供しています。多言語翻訳へのハードルを下げ、安心してご依頼いただけるようになる小冊子です。この機会にぜひ一度、お目通しいただければと存じます。
アークコミュニケーションズの翻訳サービスは、44言語以上に対応しています。弊社に登録しているネイティブ翻訳者や、世界各地にあるパートナー企業とのネットワークを生かし、日本語を軸とした翻訳はもちろんのこと、英語から別の言語へ、さらには複数の言語への多言語翻訳にも対応いたします。
また、翻訳の後、Microsoft Word、PowerPoint、HTMLやイラストレーターといった専門的なDTPソフトでのレイアウト調整まで、一括してご依頼いただくことができます。
※一部の言語につきましては英語への翻訳を介しての作業となります。
多言語翻訳はアークコミュニケーションズにご相談ください。
些細な内容でも、ご要望に寄り添った適切なソリューションをご提案いたします。
株式会社アークコミュニケーションズ「翻訳会社アークのブログ」編集チーム
「翻訳会社アークのブログ」では、翻訳に関するノウハウや豆知識、世界各国の言語や文化などさまざまな記事をお届け!翻訳会社ならではの視点から、みなさまのお役に立つ情報や知っておもしろい話題をお伝えします!
>>アークコミュニケーションズについてはこちら
※当サイト内の文章・画像等を無断で転載・複製・改変等することを禁止いたします※
本サイト(www.arc-c.jp)は、快適にご利用いただくためにクッキー(Cookie)を使用しております。
Cookieの使用に同意いただける場合は「同意する」ボタンを押してください。
なお本サイトのCookie使用については、「プライバシーポリシー」をご覧ください。