多言語翻訳を行なう際に発生する問題の一つが、言語間で生じる意味やニュアンスのズレです。言語が異なる以上、ある程度はズレが生じてしまうのは避けられませんが、これらのズレを極力抑える方法はあります。
今回は「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」の違いに着目して、よりよい翻訳結果を得られる方法をご紹介します。
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多言語翻訳を行なう際に発生する問題の一つが、言語間で生じる意味やニュアンスのズレです。言語が異なる以上、ある程度はズレが生じてしまうのは避けられませんが、これらのズレを極力抑える方法はあります。
今回は「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」の違いに着目して、よりよい翻訳結果を得られる方法をご紹介します。
「ハイコンテクスト文化」と「ローコンテクスト文化」は、文化人類学者のエドワード・ホールが1973年に提唱した概念です。「コンテクスト」とは「文脈」「脈絡」「状況」という意味であり、「生活習慣や文化的背景、経験」と解釈すると理解しやすくなるかもしれません。
ハイコンテクストな文化とは、言語以外の情報(コンテクスト)の重視度がハイである(高い)、つまり、コミュニケーションにおいて言語以外のコンテクストへの依存が大きい文化のことを言います。分かりやすく言い換えると「あえて言葉で全てを表現しなくても意思を伝えやすい」文化、となります。日本や韓国、中国などのアジア諸国や、アラブの国々などがハイコンテクストな文化とされています。
一方でローコンテクストな文化は、コンテクストへの依存度がローである(小さい)文化です。すなわち「伝えたい内容の多くを明確に言葉として表現して伝達する」文化、ということになります。ローコンテクスト文化の代表例はドイツ、スイス、アメリカ、北欧諸国などです。
日本語などのハイコンテクストな文化の言語を翻訳する場合、コンテクストへ依存している部分が、翻訳による違和感や意味のズレを生み出してしまう要因になることがあります。
例えば「今年度の売上高は昨年度と比べても悪くなかった」という日本語があるとします。「悪くなかった」という部分には「とりわけ顕著な成果を上げたわけではないが、悪化はしておらず良くはなっている」といったニュアンスが込められていますが、これをそのまま英語に翻訳すると、ローコンテクストである英語の読者は意味の曖昧さに違和感を覚えてしまいます。
ハイコンテクスト文化の代表例はまさしく日本です。「阿吽の呼吸」や「以心伝心」などの言葉があるように、暗黙の了解を多く含んだハイコンテクストなコミュニケーションが好まれることもあり、日本語の文章はかなりハイコンテクストです。そのため日本語から他の言語に翻訳する際には、コンテクストに起因する違和感や意味のズレを極力抑えるための工夫が必要になります。
日本語の翻訳で発生する違和感や意味のズレを抑えるには、どうすればいいのでしょうか。
最も理想的なのは、日本語で資料を作成する際に、あらかじめローコンテクストな内容で作っておくことです。そのためには、主語・述語・目的語・修飾語の係り受けを明解にする、数値や事実に基づく具体的な表現を使う、冗長な表現はなるべく用いず端的に言い表すなどといった表現の工夫が有効です。
すでにある資料を翻訳する場合には、これらの表現の工夫が出来ているか?という視点からチェックし、あいまいな表現になっている箇所をローコンテクストに変更しておくと良いでしょう。例えば、前述した「今年度の売上高は昨年度と比べても悪くなかった」という日本語であれば、「今年度の売上高は昨年度と比較して1%上がった」といった形に直せば、翻訳前後で意味がズレることがなくなります。
日本語の文章から多言語翻訳を行なう場合には、複数の言語間でメッセージやニュアンスのズレが生じやすいので、ローコンテクストな英語をハブ言語とすること、英語翻訳の品質を上げることがポイントになります。
英語をハブ言語とする場合には「プレインイングリッシュ」を利用するのがおすすめです。プレインイングリッシュとは、その名のとおり「誰にでもわかる平易な英語」のこと。「様々な人に伝わるように」という目的で作られた英語で、読み手にとってシンプルで間違いなく理解できる特徴があります。
多言語翻訳では、ローコンテクストへ変更した日本語をプレインイングリッシュに翻訳しハブ言語として使うことで、複数の言語間の違和感や意味のズレをより少なくすることができます。
アークコミュニケーションズの翻訳サービスは、44言語以上に対応しています。弊社に登録しているネイティブ翻訳者や、世界各地にあるパートナー企業とのネットワークを生かし、日本語を軸とした翻訳はもちろんのこと、英語から別の言語へ、さらには複数の言語への多言語翻訳にも対応いたします。プレインイングリッシュを用いた翻訳にも対応しております。
※一部の言語につきましては英語への翻訳を介しての作業となります。
多言語翻訳はアークコミュニケーションズにご相談ください。
些細な内容でも、ご要望に寄り添った適切なソリューションをご提案いたします。
株式会社アークコミュニケーションズ「翻訳会社アークのブログ」編集チーム
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