中国語には複数の種類があり、種類が違えば中国人同士であってもコミュニケーションが成立しないことがあります。中国語を学んだり、翻訳や通訳を依頼したりする際には、どの種類の中国語が必要なのかをあらかじめ確かめておくことが重要です。今回は、標準的な中国語のひとつである「普通語」と「広東語」の違いについて解説していきます。
普通語と広東語は全く異なる言語!?
普通語は、中国の学校教育で教えられている共通語です。北部の北京や重慶、西安、南京などの主要都市を中心に使用されている方言をベースとしており、英語では「Mandarin」と表記します。ちなみに普通語のことを指して「北京語」と呼ぶ人もいますが、普通語と北京語には語彙や発音などの違いがあります。
一方、中国南部の広東省、香港、マカオ(澳門)を中心に話されているのが「広東語」です。こちらは英語だと「Cantonese」。普通語と比較するとマイナーな方言のような印象を受けますが、各国に存在するチャイナタウン、華僑・華人社会など、世界中には一億人以上の広東語話者がいます。
発音しやすく、学習しやすいのは北京語!
中国語は日本人にとって馴染みのない発音が多い言語です。例えば「ma」という音は、発音の高低や上げ下げの仕方で「お母さん」「麻(アサ)」「馬」「罵る」といったように、全く異なる意味になります。この音調のことを声調といい、普通語にはこの声調が4種類、広東語には6種類(数え方によっては9種類)も存在します。
普通語には「ピンイン(併音)」と呼ばれるアルファベットを使った発音表記体系が確立しています。これは日本語のローマ字表記の様なもので、まずはピンインを覚えれば普通語を発音できるようになります。
一方、広東語は、ピンインのような標準的な発音表記体系が確立しておらず、発音表記の方法が辞書やテキストで異なっていたりします。さらに、広東語はあくまでも話すために使う言語であるため「単語はあってもそれを表記する文字がない」ことがあります。それでもどうしても書かなければならないときは、似た発音の漢字に口偏をつけて代用します。
香港映画を楽しみたいなら広東語!
学習は難しそうな広東語ですが、日本人にとっては耳馴染みのある言語とも言えます。例えば、1984年公開のジャッキー・チェンの代表映画「プロジェクトA」の主題歌「東方的威風」。威風堂々とした曲調が特徴的で日本でも主に80~90年代に流行した有名な曲ですが、この歌は広東語で歌われています。また、2001年に公開され日本でもブームになった「少林サッカー」も、基本的には広東語が使われています。ただし、主人公に恋するヒロインは北京語話者であり、主人公がヒロインと会話する際には不慣れな北京語で話すという設定になっています。
ほかにも、日本で親しまれている中華料理の名前にも、「チャーシュー(叉焼)」「ワンタン(雲呑)」「シュウマイ(燒賣)」「ライチ(茘枝)」など、広東語由来のものが多く存在します。
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株式会社アークコミュニケーションズ「翻訳会社アークのブログ」編集チーム
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