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「やってみなはれ」――サントリーの成長力の源泉となる創業者鳥井信治郎の精神を胸に、サントリーホールディングス コーポレートブランド戦略部が現地のグループ会社と一緒になって、海外の各国向けウェブサイトを展開しようとしています。最初の展開としてサントリーが選んだのは、ベトナム国向けサイト。わたしたちアークコミュニケーションズは、このベトナム国向けサイトにおいて英語・ベトナム語翻訳を担当させていただきました。本サイトは、ベトナム語ページとともに英語ページを併設し、現地スタッフとの情報共有や、続く多国への展開に備える役割も担っています。ベトナム語への翻訳ベースとなったのがプレインイングリッシュでした。いまだその解釈に難しさが伴うプレインイングリッシュの考えをあえて取り入れ、そこからの多国語展開に挑んでいるこのプロジェクトも、まさにサントリーの「やってみなはれ」精神の一つとも言えるのではないでしょうか。
左より 伊藤、キンバリー、大塚様、大里、相川様、馬場
大里:御社の国別コーポレートウェブサイトの翻訳にかかわらせていただいて大変嬉しく存じます。まずは、御社内における当プロジェクトの位置づけや戦略についてお教えいただけますでしょうか?
相川様:簡単に経緯をお話しさせていただくと、サントリーは21世紀に入ってから、さらなる成長のためにM&Aによるグローバル展開を加速し、海外拠点を増やしていきました。そうした中で「サントリーを海外においても信頼あるブランドとして確立したい」という思いが出てきたのです。
大里:国内では誰もが知っている「SUNTORY」さんですが......。
相川様:いえいえ、いまだに海外の多くの人は、会社名や商品を見ても「SUNTORYっていったい何?」となるんです。そこで、まずはグローバル向けにウェブサイトやSNSアカウントを作り、英語での情報発信基盤をつくりました。しかし、各国のローカル事情まで考えると、これだけでは十分に情報が届かないことがわかりました。英語を母国語としない国々でも事業をしていますので、各国の状況に合わせた情報発信をしようということで、国別コーポレートウェブサイトのプロジェクトを発足させたのが2017年です。
大里:グローバルウェブサイトを単純に各国語に翻訳するという方法は採用しなかったわけですね。
相川様:グローバルウェブサイトは、ローカル向けには情報が足りない半面、世界中の情報を掲載しているため、国によっては情報が無駄に多いという課題もありました。そこで、現地の事業会社と一つひとつプロジェクトを組んで、まったく新たなサイトづくりを進めていこうとなったのが、このプロジェクトの始まりです。その最初の展開が、今回のベトナム国向けサイトという位置づけになります。
大里:なぜ、ベトナムからスタートさせたのですか?
相川様:一定規模以上の売上があり、今後も成長が見込める国の中、文化・社会的背景も考慮しながら検討した結果、条件に合致したのがベトナムでした。さらに、新たな言語へのトライアルという意味で「公用語が英語ではない国」という条件もありました。
大里:ベトナム国向けサイトとしてベトナム語を扱うのは当然ですが、なぜそのサイトで英語も扱おうとお考えになられたのですか?
大塚様:理由は2つあります。まず一つは、現地のスタッフと一緒に作り上げるプロジェクトですので、お互いの共通言語が英語になるということです。製作過程でコンテンツの内容を共有したり承認したりする時に、現地語だけだとわかりませんし、出来上がったベトナムサイトをほかの国の担当者に伝える際にも、英語は必要なんです。もう一つは、アジアではトップの方がローカル出身ではないケースもあるので、やはり英語サイトは重要と感じていました。
大里:英語翻訳の指針として、明快に「プレインイングリッシュ」とご指定いただきましたが、どのような意図があってお選びになられたのでしょうか?
大塚様:一つには、英語を読む方がネイティブではない可能性があるので、わかりやすい英語にするということと、もう一つは、多国語化という観点から、わかりやすい英語で翻訳の原文を準備することと言っていいでしょう。ところでお忘れのようですが、プレインイングリッシュというものがあることを教えてくださったのは大里さんですよ(笑)。
大里:そうでしたっけ?(笑) プレインイングリッシュはその名の通り「平易な英語」のことで、もともとは英国や米国でさまざまな人にも伝わるようにと、政府の文書において使われ始めたものです。今では、「英語を母国語としない方々にも簡単で正しく伝わる英語」というふうに、その定義も広くなりました。実際にプレインイングリッシュを採用して、どうだったでしょうか?
大塚様:大変わかりやすく、今後の多国語化も視野に入れた良い翻訳になったと思います。ただ当社の場合は、単純にプレインイングリッシュに翻訳すればいいということではなく、「どの程度プレインイングリッシュにするか」がポイントなんだということが、御社との議論の中で次第に理解できるようになりました。
大里:プレインイングリッシュの「誰にでも伝わる」という目的は世間で共有できていると思いますが、「どう実現するか」という具体的な部分は決まった定義があるわけではありません。いくつかのスタイルもありますので、御社に最適なプレインイングリッシュを探し続けたのが、このプロジェクトを通してわたしたちがチャレンジしたテーマでもありました。
大塚様:確かにその作業の部分ですごく時間がかかったという印象がありましたが、その分しっかりとガイドラインにまとめていただき、今後もブレずに翻訳できるようになったことは、大変感謝しています。
大里:担当のキンバリーは、プロジェクトをどのような方針で進めていったのですか?
キンバリー:最初はすべてをフラットなプレインイングリッシュにしたのですが、サントリーさんから、特にメッセージ性のある部分については「伝えたいパッションを削ぎ落とさないように」とフィードバックを受けました。そこで、メッセージ性の高い部分では、語感の豊かさを失わないようにとプレインイングリッシュ化を少し控えるなど細かな調整をしています。
馬場:翻訳の大枠に関する道筋を作る部分をキンバリーが担当しましたが、いかがでしたでしょうか?
大塚様:本当に助かりました。英語はもちろんですが、日本語についてもプロフェッショナルさを強く感じました。わたしたちが知らない日本語の単語までご存知だったりしたので(笑)。そういう意味で、言いたいことをちゃんと吸い上げてくださっている感覚は十分ありましたね。
馬場:やはり、言語に関する感覚が違うんでしょうね。伊藤も同じです。英語、中国語、韓国語3カ国語が堪能なことに加え、最近需要の多いアセアン言語についても、熱心に勉強していますから。
伊藤:ベトナム語はもともと漢字で表記する言語でしたが、フランス統治時代になって漢字が廃止され、「チュー・クオックグー(字国語)」というアルファベット表記になりました。アルファベットと言っても、日本人には見慣れない補助記号がたくさん付いていて、もともと漢字から派生したので単語が短いのが特徴です。日本語のように「和語」に相当する独自の言葉と中国から伝わった「漢語」から成り立っている点で日本語と共通点があり、わたしにとっては親しみのある言語です。ところで、今回のベトナム語の翻訳はいかがでしたか?
大塚様:大変しっかりやっていただき、ありがとうございます。特に現地のスタッフが喜んでくれたのは、原稿のガイドラインを作ってくれた部分ですね。向こうのスタッフもわたしたちも、「サントリーの言葉」の表現においては一貫性を保ちたいという気持ちがありました。そういう長い目で見たご提案までいただいたことで、ほかのプロジェクトにも貢献してくださったと思っています。
相川様: キンバリーさんや伊藤さんもそうですけど、アークさんにはプロフェッショナルな方がすごく多いという印象を抱いています。これは、わたしたちにとって、安心感につながりましたね。
大里:今回のベトナム国向けサイトで一番ご苦労されたところはどこでしょうか?
相川様:プロジェクトを立ち上げる際に、「なぜベトナム向けの個別サイトが必要なのか」を説明することが難しかったです。あとは、サントリーが作ったデザインが、本当にベトナムの国民性に合っているのかという部分ですね。そして、わたしたち日本の担当者がベトナム語を理解できない中で、出来上がったものが正しいのかどうかわからない不安感。この3つだと思います。
大塚様:付け加えるとしたら、何のコンテンツを載せるのかという悩みでしょうか。グローバルウェブサイトのコンテンツを流用して掲載するので、何を削ぎ落として何を残すべきかという判断は、今までやったことがなかったですから。そうしたコンセンサスを社内で取りながらコンテンツを決めていくこと自体、結構チャレンジングだったのかなと思います。
大里:社内稟議が通ったのは何がポイントだったのでしょうか?
大塚様:多国語化の必要性はみんな共通して持っていましたね。
相川様:このプロジェクトをトリガーにして各国とインターナルなコミュニケーションを図る、という部分が認められたと思います。ウェブサイトを日本と当事国とで一緒に作ることによって、同じ広報同士、コーポレートブランディング担当者同士のコネクションを作りたいと思っているのです。このために、一つひとつプロジェクトを起こすというような、あえて手間のかかるプロセスを踏むようにしましたが、その結果、社内外からも高い評価を得て、あとはもう「早く展開してくれ」という話になっています。成果の一つとして、毎年米国で開催されている、卓越した創造性を持つウェブサイトに対して贈られる「W3 Awards」を今年、受賞しました。
馬場:わたしたちがサントリーについて理解を深めるために、<天然水のビール工場>東京・武蔵野ブルワリーのビール工場やサントリー白州蒸溜所、サントリー天然水南アルプス白州工場の見学にお招きくださったことは、大変ありがたかったです。白洲蒸溜所では、ウイスキーの製造には多くの工程と時間が必要だ、ということも大変詳しく教えていただきました。また、お客様が商品に感じた違和感の原因を説明するために、品質管理担当の方が一つひとつの可能性をていねいに調べ、考えられる原因をつぶしていく作業には大変感動しました。
大塚様:商品の生産現場をお見せすることで、わたしたちが言葉で伝えるだけでなく、現場で五感を使って、サントリーが目指しているものや企業文化を感じてほしかったのです。ですから、そうおっしゃっていただけると、とても嬉しく思います。
大里:工場見学のために駅からシャトルバスに乗る時に、到着が遅れて発車時刻に間に合わない一般見学者の方がいらっしゃいました。その際に、大塚さんが迷わずバスを降りてご案内されていましたね。そんなお客様を大事にする姿勢が何気なく発揮されるところに、御社の凄みを感じました。
大塚様:ありがとうございます。1日に2つの工場をあわただしく回ったのですが、試飲だけはキッチリしましたね。その後、夕食会でまた「ザ・プレミアムモルツ」。キンバリーさんのお酒の強さにはびっくりしました(笑)。
キンバリー:「本当はもっと試飲できたのに」と少し後悔しています(笑)。
大里:ベトナム国向けサイトがこれで一段落しましたが、今後の展開はどのように考えていらっしゃいますか?
相川様:目標としては、この先5年くらいで、戦略国すべてに国別サイトを展開しようと思っています。来年度中には3~4サイトを作ろうと思っていまして、まずはインドネシアとタイ、さらに中国......というように順次展開していく予定です。
大塚様:今回進める国別コーポレートウェブサイトでは、基本的に日本のサントリーから情報を発信するので、日本側ですべての情報をコントロールしようと考えています。つまり、先方の国の情報を日本で集めて、わたしたち自身がサイトを更新していくことになります。ですから、サイトの数が増えれば増えるほど、日本側で運用する人員が必要になるわけで、運用が大きな課題になってくると思っています。
相川様:その点で、御社が翻訳だけではなくウェブ制作・運用業務にも精通しているのは、わたしたちとして、やりやすいと感じる部分です。この先、多国語に展開していく時に翻訳と運用をセットでお任せできるという安心感は大変大きいからです。
大里:これからいろいろな言語が出てきて、翻訳会社としてもますます対応する楽しみが広がります。わたしたちも力の限り多国語サイト展開にご協力させていただきたいと思います。今日は大変興味深いお話をありがとうございました。
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