■イタリア語の特徴
イタリア語はほかのロマンス諸語と比べ、言語が成立した13世紀以降、大きな変化を受けず長くその姿を保っているという特徴がみられます。
これは、ラテン語がイタリア半島で起こったローマ帝国やキリスト教(カトリック)の公用語としてヨーロッパ各地に広がり、公文書および学術書物の言語としても長く使われてきたこと。さらには、ルネサンスの先駆者だった詩人ダンテ・アリギエーリが、ラテン語の一方言であるトスカーナ方言を使って「神曲」を書いたことでイタリア語が成立し、現在に至るまで、絵画や哲学、建築、音楽などの芸術・文化をイタリアがリードしてきたことなどに由来します。
■イタリア語の文法の特徴
イタリア語は、英語などと同じく「SVO:主語-述語-目的語」の順番で文を組み立てるのが基本ですが、英語と比べるとそこまで語順に厳しくはありません。
イタリア語の文法の特徴としては、動詞の活用が複雑であることが挙げられます。時制はもちろん、主語の人称や単数/複数によっても動詞が細かに変化する点は、日本人にとって習得の難所となっています。
たとえば「~を愛する」という意味のイタリア語「amare(アマーレ)」は、直接法現在形だけで「amo(一人称単数)」、「ami(二人称単数)」、「ama(三人称単数)」、「amiamo(一人称複数)」、「amate(二人称複数)」、「amano(三人称複数)」と6パターンに変化します。
一方で、このように動詞の活用が細かに決まっているため主語がなくとも文意が読み取れることも、イタリア語の特徴だと言えます。日本でもよく知られる「ti amo(あなたを愛しています)」は、「amo」が一人称単数であることから、主語が「私は」であると読み取れるのです。
ほかにも、イタリア語の名詞は男性名詞か女性名詞に分けられます。これはイタリア語と同じラテン系言語であるフランス語やスペイン語などと同じ特徴です。