古い時代の姿を色濃く残した言語のイタリア語は、イタリアが誇る音楽、料理、美術、建築物など、数多くの伝統文化を象徴する言語です。イタリア語の概要や特徴について紹介します。
伝統文化を象徴するイタリア語
イタリア語は、中世の欧州共通語であったラテン語が派生したもので、インド・ヨーロッパ語族ロマンス語派に属します。
話者数はおよそ6000万人とされており、国際語として認識されている英語やフランス語、スペイン語とは異なり、イタリア語を日常的に利用している人は多くがイタリア国内で生活しています。イタリア以外にはサンマリノやスイスで公用語とされているほか、カトリック教会の総本山であるバチカン市国では業務用語として使われています。
イタリア語には、長い歴史の中であまり変化がないという特徴があります。音楽、料理、美術、建築物などの多彩な伝統文化と同じく、古い歴史が伝えられている言語です。
イタリアでは「駅のアナウンスさえオペラのように聞こえる」と感じる人も多いそうです。これはイタリア語がコミュニケーションのためだけでなく、響きの美しさを追求し長い時間をかけて熟成されてきたという歴史があるからでしょう。
イタリア語の文法的な特徴
注目すべきイタリア語の文法的な特徴を挙げてみましょう。どの言語でも主語と動詞は文章を理解する上での骨格となりますが、イタリア語では動詞の活用が複雑であり、この動詞活用を覚えることがイタリア語上達には必須となっています。
中でも、イタリア語では主語の人称や単数/複数によっても動詞が細かに変化するという特徴があります。
例えば、「~を愛する」という意味のイタリア語「amare(アマーレ)」の、直接法現在形での変化は次のとおりです。
主語 | amare |
---|---|
io(一人称単数) | amo |
tu(二人称単数) | ami |
lui・lei・Lei(三人称単数) | ama |
noi(一人称複数) | amiamo |
voi(二人称複数) | amate |
loro(三人称複数) | amano |
英語の「love」は三人称単数の場合にのみ「loves」と変化することと比べると、イタリア語の複雑さが分かります。一方で、このように動詞の活用が主語によってきっちりと決まっているために、主語が省略されても文章として成立するという点も、イタリア語の特徴となっています。
このことがよく分かるのが、日本でもよく知られるフレーズ「ti amo(ティ アモ)」です。このフレーズ、「ti」は「あなたを」、「amo」は「愛している」という意味であり、主語がありません。「amo」が一人称単数の動詞変化であることから、あえて主語の「io」を入れなくとも「私はあなたを愛している」という意味だと分かるのです。
馴染みのある単語からイタリア語にアプローチ!
日本でも多くのイタリア語が、カタカナ語として日常的に使用されています。例えば仕事でよく使う「クライアント」という単語の語源は古代ローマ時代までさかのぼります。当時、貴族の保護を受けて暮らしていた平民は「clientes(クリエンティス)」と呼ばれ、このクリエンティスの数が貴族のステータスになっていたそうです。これが現在「お客様」の意味で使われる「クライアント」の語源とされています。
また、多彩な文化を育んできたイタリアの言葉らしく、多くのイタリア語の音楽用語が日本でも使われています。
- pianissimo(ピアニッシモ):かなり小さく
- fortissimo(フォルテッシモ):かなり大きく
- crescendo(クレッシェンド):次第に強く
- decrescendo(デクレッシェンド):次第に弱く
- cantabile(カンタービレ):歌うように
このほか、サッカーに関する言葉でもイタリア語由来のものがたくさんあります。
- verdi(ヴェルディ):verde=「緑」の複数形
- gamba(ガンバ):足
- bel(ベル) mare(マーレ): bel=美しい、mare=海
- libero(リベロ):自由な
- regista(レジスタ):指揮者、演出家
音楽やサッカーのほかにも、料理や車など、イタリア語にアプローチできる糸口は、身の回りにたくさんあります。
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※一部の言語につきましては英語への翻訳を介しての作業となります。
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