■ロシア語の文字や発音の特徴
ロシア語では「キリル文字」が使われます。キリル文字のアルファベットは10個の母音と21個の子音、音を表さない記号2個、合わせて33字で構成されます。英語などで使われるラテン文字と同様にギリシャ文字を起源にもつため、ラテン文字と同じような見た目の字が多いです。
キリル文字のアルファベットは、英語のアルファベットと形が似ていても発音は異なる字があるほか、日本人にとっては発音がやや難しいものもあります。一方で単語の発音は文字どおりに読めばよい場合が多いので、英語と比べれば簡単に感じる人も多いでしょう。
【発音が英語と異なるロシア語のアルファベット例】
B(ヴ)、H(エヌ)、Р(エル)、C(エス)、Y(ウ)
■ロシア語の文法の特徴
ロシア語の文法の特徴として、語形の変化が多い点が挙げられます。
たとえば名詞には、男性名詞・女性名詞・中性名詞の3つの性があります。その上、6種類の格(主格・生格(属格)・与格・対格・造格(具格)・前置格(前置詞格))があり、これによって語形が変化(格変化)します。さらに、単数形と複数形の違いがあるため、例えば「船」を意味する男性名詞の「корабль」は、次のように12種類の変化をします。
単数主格:корабль
単数生格:корабля
単数与格:кораблю
単数対格:корабль
単数造格:кораблём
単数前置格:корабле
複数主格:корабли
複数生格:кораблей
複数与格:кораблям
複数対格:корабли
複数造格:кораблями
複数前置格:кораблях
さらに、名詞を修飾する形容詞も、名詞の性や格に応じて変化をします。
こうした語形変化の多さは日本人がロシア語を理解する際に難しさを感じるところであり、ロシア語を正確に翻訳するために押さえるべき重要なポイントでもあります。
また、ロシア語を日本語に訳す場合は、辞書の意味どおりに言葉を訳すと不自然な訳になることが多いです。辞書の意味にとらわれずに、ロシア語の表現の含意をすくい上げることが重要となります。