特別編:知ったかぶりのロシア語講座その3:父の名を継ぐロシアの子どもたち
April 2, 2019
ルールで決まる「父称」
そもそも、ロシアでは名前に3種類があります。
日本語では「姓」と「名」しかありませんが、クリスチャンネームなど3種類の名前をもつ国は少なくありません。ロシアでは、「名前」「父称」「苗字」の3種類。ソチオリンピックに出場した美女スケーターたちで言えば、
アデリナ・ドミトリエヴナ・ソトニコワ
ユリア・ヴィアチェスラヴォヴナ・リプニツカヤ
です。
前の記事から、ソトニコワのお父さんの苗字はソトニコフで、リプニツカヤのお父さんの苗字はリプニツキーだと容易に想像がつくと思います。しかし、今回注目してほしいのは、真中に位置する「父称」です。「父称」という言葉が意味するとおり、これはお父さんの名前に関係があります。
アデリナのお父さんの名前はドミトリー。ユリアのお父さんの名前はヴィアチェスラフ。つまり、お父さんの名前に「ヴナ」をつけて父称とするのです。もっとも、「ヴナ」をつけるのは娘であって、息子なら「ヴィチ」。アデリナにもし、イワンという弟がいたとしたら(実際は2歳下の妹がいるらしい)、イワン・ドミトリエヴィチ・ソトニコフさんのはず。
ちなみにフィギュアスケート界で"皇帝"と呼ばれるプルシェンコは、エフゲニー・ヴィクトロヴィチ・プルシェンコで、お父さんの名前はヴィクトルであることがわかります。
このように父称は、ルールで決まってしまうものなんです。
父称は敬称としても使われる
「父称はミドルネームのようなもの?」と思ったら、全然用途が違いました。
親しくない間柄で敬意を表する場合は、苗字の代わりに父称が使われることが多いと某ロシア人から聞きました(Mr./Ms.にあたるらしい)。「わたしはロシアで学校の先生をしていたけど、生徒からは父称で呼ばれていたわよ」。
だとしたら、浅田真央ちゃんの元コーチ(タチアナ・アナトーリエヴナ・タラソワ)に会ったら、親しくないわたしはタチアナ・アナトーリエヴナと呼ぶのでしょうか? 真央ちゃんはなんて呼んでいたのでしょうね。ターニャ?
おっと、愛称については次の記事に書きたいと思います。まだまだ、"名前編"は続きます。
paka! (またね)
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