Webサイト・Webページ、Webコンテンツの翻訳には、通常の翻訳とは異なるWebならではのポイントがいくつかあります。ここでは、そうしたポイントを翻訳会社の翻訳プロジェクトマネージャーの目線からまとめ、翻訳の発注者の方がどのようなところに注意すれば、Webサイト翻訳プロジェクトをスムーズに効率的に進められるか解説します。
Webサイト翻訳をご検討の方必読の内容となりますので、ぜひご参考にしてください。
Webサイト翻訳は翻訳範囲の明確な指定がポイント
Webサイト・Webページの翻訳は、原文に書かれていることを過不足なく翻訳する点で、一般的な翻訳と大きな違いはありません。
ただし、一般の翻訳ではあまり気にされない「翻訳の範囲(翻訳対象/非対象のテキスト)」を明確にご指示いただくことが、翻訳プロジェクトをスムーズに進めるための大きなポイントになります。
翻訳プロジェクトマネージャー(翻訳PM)としてよく経験するWebサイト翻訳のご発注の依頼方法に、「このWebサイトの翻訳をお願いしたいのですが、トップページのURLを送るので見積もりをお願いします」というものがあります。
こうしたご依頼をいただくと、翻訳PMはトップページからリンクされているページをたどって翻訳範囲を確認する作業から始めます。このようにトップページのURLのみでご指示いただいた場合、本来、翻訳不要なページやPDFなどのドキュメント類までお見積りに含まれてしまう可能性が出てきます。
そこで、事前にお客様において、でき得る限りで構わないので、翻訳対象となるページ、あるいはリンク先ドキュメントなどを具体的にリストアップしていただけると、お見積りと実際の費用の差を小さくすることができるようになります。
さらに、準備時間を短くでき、プロジェクト全体の時短にも役立ちます。もし、「リストアップに手間がかかる」と感じる場合は、すでにサイトでご用意されているサイトマップを利用してご指示いただくのも一つの手かもしれません。
目に見えないメタタグの翻訳とSEO対策
「Webサイトならではの翻訳」という意味では、読者の目には見えないメタタグ(titleタグやmeta keywords、meta descriptionなど)の翻訳も、Webサイト・Webページの翻訳で忘れてはならない大切なポイントになります。
これらのタグは、一般の検索エンジンがサイトやページの内容を認識するために重要な役割を果たすので、ローカライズなどにおいて翻訳対象の必須パーツとなります。
読者目線で翻訳を考えてしまうと、つい忘れがちな項目なので、発注の際には十分に注意しましょう。
さらに、検索エンジン関連で本文中のテキストや翻訳に深く関係するのがSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)です。
翻訳の際に、SEOまで考慮した翻訳をお望みであれば、翻訳会社に事前にその旨を伝えることをおすすめします。
例えば、SEO対策したいキーワードをご指定いただくことによって、翻訳後、すぐにWeb集客に役立つページが出来上がります。
こうしたキーワードはサイト内のさまざまな場所で使われることが多いので、あとから五月雨式に対策を打つよりも、最初の翻訳時に設定することで、Webサイトのスタートダッシュに役立つことになります。
同じ言語でも対象の国と地域によって翻訳は異なる
Webサイト翻訳を発注する時、もう一つ大切なのは、読者対象の明確化です。
日本語から外国語への翻訳で一番多くご依頼をいただくのは、英語への翻訳です。
「英語」と一口に言っても、アメリカ英語やイギリス英語などいくつか種類があることは、皆さん、よくご存知だと思います。
英語は多くの国で公式言語として扱われていますが、どの国の読者が読むかによって、この2種の翻訳を使い分けることが実は大切なのです。
汎用的(グローバル)なケースでは、おもにアメリカ英語が使われますが、例えばシンガポール向けや他の東南アジア諸国向けなら、イギリス英語を使ったほうが自然な仕上がりになることは案外と知られていないものです。
同じようにスペイン語でも、スペイン向けと南米向けでは使い方が変わります。
ポルトガル語に至っては、ポルトガル向けとブラジル向けではスペルや文法まで異なり、ほぼ「別言語」と言っても差し支えありません。
同じ言語の国別のニュアンスの違いというのは、ネイティブが読めば一目瞭然。ましてや、商品の売れ行きに直接影響するようなブランドサイトでしたら、言語に気を使い過ぎるということはありません。
こうした高品質な翻訳を求めるケースでは、国別言語の違いに詳しいアークコミュニケーションズのような翻訳会社に依頼するのが間違いありません。
以前、中国語の翻訳チェックでこんな経験をしました。中国語は大きく分けて「簡体字(大陸やシンガポールなど向け)」と「繁体字(台湾、香港など向け)」の2種類があることは有名ですが、ある方から「中国語(繁体字)に翻訳されたホームページのネイティブチェックをお願いしたい」というご依頼をいただきました。
繁体字で書かれていたので台湾向けのサイトだろうと考え、台湾のネイティブスピーカーに見てもらったところ、「これは大陸の言葉ですね」と即座に指摘されました。
どうも、簡体字のネイティブが簡体字をそのまま繁体字に変換したらしい。つまり、簡体字と繁体字は文字の違いだけではないということです。
Webサイト翻訳時は文字デザインやレイアウトの制作にも考慮
そのほかにも、Web翻訳で考慮すべきポイントとして、ブラウザやシステムへの依存性があります。
例えば、翻訳前後の文字数の違いによってレイアウトが変わる可能性があることは事前に知っておいたほうが良いでしょう。
ブラウザ上の文字表示は、ユーザー設定によって変わってしまうので、印刷物のように制作によるコントロールが難しく、意図しないレイアウト崩れが起きてしまうことがよくあります。そうした場合はWeb制作専門の人にご相談されることをおすすめします。
また、フォントそのものやサイズなどには、「その国の好み」といった嗜好的な部分もあります。
例えば、日本語フォントそのままにアルファベットなど外国語の文字を表記すると、英語ネイティブにとっては不自然な表示になってしまうことがあります。これには、その国でよく使われるフォントに変更するなどの設定上の対策が必要です。
また、外国語から日本語へのローカライズのケースでは、やけに文字が大きく感じるような、日本人の目からは不自然な仕上がりになることもあります。
これらはある意味、翻訳の力だけではどうすることもできない部分ですので、Web制作会社や専門の方に相談するのが早道と考えられます。
文化的な最適化には翻訳だけでなくリライトも検討要
Webサイトのローカライズといった側面から見ると、前述した目に見えるデザインやレイアウト上の問題以前に、サイトやページ構成そのものに影響を及ぼす「文化的な違い」も無視するわけにはいきません。
例えば、アメリカ向けのサイトでは、文字数が多く「読ませる」サイトが思いのほか多くあります。
また、海外サイトでは、日本の企業サイトにほぼ必ずある「社長挨拶」といったコンテンツが無かったり、企業サイトなのに文章表現が大変カジュアルだったりと、根本的にサイトの「つくり」が違う場合があります。
翻訳というものは、「原文に書かれていることを過不足なく翻訳する」ことが原則ですので、翻訳者は書いてあることを基本的にすべて翻訳します。勝手に省略することはできませんし、書いていないことを無許可で追加することもできません。
こうした制約の中で翻訳ができることには限界があるので、より現地に馴染んだかたちにWebを仕上げたいと考えるのであれば、単に翻訳だけではなく、いわゆる「リライト」という工程も必要になってくることを頭に入れておくと良いかもしれません。
最後に面白い例を一つ挙げておきます。
日本語サイトから英語サイトへのローカライズ案件において、「社長のプロフィール」というパートがあり、そこで社長の趣味の一つとして「お酒」が挙げられていたことがありました。
ただ単に「お酒の趣味」を「hobby: alcohol」と書くと、特にアメリカなどでは「社長はアルコール中毒」と思われるリスクがあります。
そこで英語に翻訳する場合は、お酒にセンシティブな国柄を考慮して、「仕事のあとに同僚と一緒にお酒を飲みに行く」とか「ワインテイスティング」というように書き換えるか、場合によっては削除する必要があります。
文化的な背景まで考慮しない翻訳の場合、このような部分はそのまま翻訳されたり、チェックしてもスルーされたりする場合があります。
国によってはお酒の話題そのものを載せられない国もあります。Webサイト翻訳の場合、読者対象になる国の文化的なチェックを考慮したリライトもぜひご検討ください。
Webサイトの翻訳や多言語サイトの制作はアークコミュニケーションズにお任せください
アークコミュニケーションズは、Webサイトの翻訳や、英語・中国語・韓国語などへの多言語化、多言語サイトの制作について多くの実績があります。CMSデータからの翻訳やCMS入稿にも柔軟に対応しておりますので、翻訳作業を一貫してお任せいただけます。
アークコミュニケーションズのWebサイト翻訳実績例
- ソフトウェア開発会社:「ホームページ」日英翻訳
- 官民ファンド:「新規WEBサイト」日英翻訳、ネイティブチェック
- 人材育成会社:「在日外国人向けWEBサイト制作」日西翻訳、日葡翻訳
- Web制作会社:「Webサイト」日英翻訳、日仏翻訳
- 建設会社:「Webページリニューアル」日英翻訳、日中翻訳(簡体字)、英語ネイティブチェック
- 音響・映像機器メーカー:「Webサイト」英日翻訳
- 情報機器販売会社:「Webページ」英中翻訳(簡体字)
- 産業機器メーカー:「グローバルサイト」英西翻訳
- 機械メーカー:「Webサイト」英独翻訳
- ソフトウェア会社:「Webサイト」英韓翻訳
- 観光リゾート会社:「観光施設Webサイト」英泰翻訳、英露翻訳
- 産業機器メーカー:「グローバルサイト」英越翻訳
- 広告代理店:「ウェブサイト向けコンテンツ」多言語翻訳(日英翻訳、英語→タイ語・インドネシア語・ベトナム語・フランス語・スペイン語)
- 広告代理店:「Webサイト原稿」多言語翻訳(日本語→韓国語・インドネシア語・マレー語・フィリピン語)
- Web制作会社:「グローバルサイト」多言語翻訳(英語→ロシア語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語)
- 中古車輸出会社:「ECサイト」多言語翻訳(英語→ロシア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語)
※一部の言語につきましては英語への翻訳を介しての作業となります。
Webサイトの翻訳にお困りでしたらアークコミュニケーションズにお声がけください。些細な内容でもご相談いただければ、ご要望に寄り添った適切なソリューションをご提案いたします。
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株式会社アークコミュニケーションズ「翻訳会社アークのブログ」編集チーム
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