ポルトガル語は、日本ではあまり馴染みがないと思われがちな言語です。しかし、実はポルトガルは日本と深く関わってきた国のひとつであり、多くのポルトガル語由来の言葉が日本では使われています。また、ポルトガル語は世界的な話者数が比較的多いため、海外マーケティングにおいては無視できない言語です。今回は、ポルトガル語に関する基礎的な知識や翻訳時の注意点をご紹介します。
ポルトガル語の基礎知識
世界で9番目に話者数の多い言語
ポルトガル語は、ブラジルとポルトガルで話されているほか、東ティモールやモザンビークなどの旧植民地でも公用語とされている言語です。また、移民の多い北アメリカやヨーロッパにもポルトガル語を母語とする人々の共同体が存在しており、統計データ提供プラットフォーム「Statista」によると、全世界での話者数は約2億5000万人とされています(2022年時点)。これは世界で9番目に多い話者数です。
実は日本でも馴染みのある言語
ポルトガルというと、日本から遠くあまり関わりがない国だと感じる方も多いかもしれません。しかし、大航海時代にポルトガル人が初めて上陸して以降、鉄砲やキリスト教が日本に伝えられたり、南蛮貿易が行われたりするなど、実はポルトガルは日本と深く関わってきた国なのです。そのため今も日本では多くのポルトガル語由来の言葉が使われています。
- パン:ポルトガル語の「pão (パォン))が由来。
- ボーロ:ポルトガル語でケーキを意味する「bolo (ボーロ)」が由来で、日本ではお菓子の名前として定着。
- カボチャ:ポルトガル語で「カンボジア」を意味する「camboja (カンボジャ)」が由来。かつてポルトガル船が来日した際に、カンボジア産の野菜としてもたらされたのがカボチャ。
- ボタン:ポルトガル語の「botão(ボタォン)」が由来。
- カルタ:ポルトガル語で手紙を意味する「carta (カルタ)」が由来。
ポルトガルとブラジルのポルトガル語の違い
日本でも世界でも話者数が多いのはブラジルのポルトガル語
同じポルトガル語でも、ポルトガルで話されているポルトガル語と、ブラジルで話されているポルトガル語は、少し違いがあります。書店でポルトガル語の教材を見てみると「ポルトガルの」ポルトガル語、「ブラジルの」ポルトガル語、といったタイトルが見られるはずです。
日本では、ブラジルのポルトガルの方が多く使われています。外務省の統計によると、ブラジルの人口が約2億1千万人(2018年時点)、ポルトガルの人口が約1千万人(2021年時点)であるため、圧倒的にブラジルのポルトガル語を話す人の数が多いことがわかります。また日本の出入国在留管理庁の統計をみると、2021年12月の時点で在日のポルトガル人の人口は550人ほどなのに対し、在日のブラジル人の数は20万人以上にのぼります。こういったことから、日本で販売されているポルトガル語の教材はブラジルのポルトガル語をベースにしたものが多くなっています。
ポルトガルで使われるポルトガル語と、ブラジルで使われるポルトガル語には、大きく分けて2つの違いがあります。ひとつは発音の違い、もうひとつは単語の違いです。
発音の違い
ブラジルで使われるポルトガル語は、ほとんど日本語のローマ字読みに近く、ひとつひとつの単語をはっきりと発音する傾向にあります。一方、ポルトガルのポルトガル語は発音が少し複雑で、語尾が弱くなる傾向があります。たとえば、「おはよう」という意味の「Bom dia」を例にとると、ブラジルでは「ボンジーア」と発音するのに対し、ポルトガルでは「ボンディーア」と発音します。
また、語末や音節末の「s」の発音がブラジルではそのまま「ス」という発音なのに対して、ポルトガルでは「シュ」という発音になります(ブラジルでも、リオデジャネイロ出身の人は「シュ」という発音をします)。
ほかにも、ポルトガルのポルトガル語では単語の最後で、「-e(s)」と綴られている文字は、日本語の「ウ]よりも少し力を抜いてこもったような音で発音されます。ブラジルではこれは「イ]と発音されます(アクセントがない場合)。
単語の違い
ジュースという意味の単語を例にとると、ポルトガルでは「sumo」、ブラジルでは「suco」という別の単語が使われます。ほかにも、
- 飴 rebuçados(ポルトガル)/ bala(ブラジル)
- 酒 álcool(ポルトガル) / vinho(ブラジル)
- トイレ casa de banho(ポルトガル) / banheiro(ブラジル)
- 部屋 quarto(ポルトガル) / sala(ブラジル)
- 乗る apanhar(ポルトガル) / embarcar(ブラジル)
- かばん mala(ポルトガル) / bolsa(ブラジル)
- ギター guitarra(ポルトガル) / violão(ブラジル)
- カップ chávena(ポルトガル) / xícara(ブラジル)
など、同じ意味を表すときでも異なる単語や動詞を使う場合があります。
ポルトガル語翻訳時の注意点
ここまでポルトガル語の発音と単語の違いに注目してきましたが、ポルトガル語を翻訳する場合には文法的な違いにも気を付けなければいけません。目的語人称代名詞を前に置くか後ろに置くか、進行形のつくりかたがser動詞+現在分詞(ブラジル)なのかser動詞+a+動詞の原形(ポルトガル)なのか、といったように、訳す対象がポルトガルのポルトガル語か、ブラジルのポルトガル語かによって、細かな部分の表現統一が品質に大きく影響します。
また、ブラジルとポルトガル語で同じ単語でも、全く違う意味を持つ場合や、一方の国ではあまり使われておらず、伝わりにくい単語もあるので、意図したとおりに伝わる単語を選ぶことも必要です。
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