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外国人は大混乱?街にあふれる「おかしい英語」の案内表記

外国人は大混乱?街にあふれる「おかしい英語」の案内表記
2023-01-24 16:00

近年、観光立国を目指している日本。新型コロナ禍により2021年は約25万人まで激減した訪日外国人旅行者数は、2022年には15倍超の約383万人に増加。2023年はさらに大きく回復することが見込まれています。インバウンド消費を見込んで国内では、街中の看板から店舗内の案内表示などのさまざまな場面で「英語表記」が増えています。

ところが、こうした英語表記が誤っていたり不自然な英文になっていることで、逆に英語ネイティブを混乱させたり、ときに失笑を買ってしまったりすることがあります。そこで、日本人は不自然に感じないけれど実は間違っている「おかしい英語」の案内表記に注目してみましょう。

かえって混乱を招いてしまう英語表記

様々な人が利用する公共施設では、英語が日本語に併記されていることも多く見受けられます。海外からのお客様に対する「おもてなし」ゆえの英語表記が、逆に英語ネイティブを混乱させていることもあります。

「化粧室は後方へ」
"For Restrooms, Go back toward your behind"

この表記だと英語ネイティブから見ると、化粧室は前方なのか後方なのかが分かりづらく、戸惑ってしまいます。「化粧室はあなたのお尻の方?」と首を傾げるかもしれません。
英語圏の公共施設では"Restrooms located behind you"のように表記されています。一般的な案内表記の場合は、原文の日本語は気にせずに、海外にある実際の表記方法を参考にするのが賢明です。

直訳による、おかしな英語

翻訳サイトなどの自動翻訳の多用や過信も、おかしい英語の原因のひとつになります。翻訳したい日本語を入力するだけで英訳を入手できる自動翻訳はたしかに便利です。しかし、その翻訳精度は必ずしも完璧とはいえず、特に文法的構造や表現が異なる日本語と英語では誤訳が起きる可能性が高くなります。
例えば、居酒屋や和風レストランにある靴置場の案内文をいくつかの自動翻訳にかけると、次のようになります。

「脱いだ靴はこちらへ」
自動翻訳A:"The shoes which took off this place"
自動翻訳B:"Here are the shoes I took off"
自動翻訳C:"Please take off your shoes here"

自動翻訳Aの英文だと「この場所を脱いだ靴」という意味に、自動翻訳Bは「私が脱いだ靴はこちら」となってしまい、ともに明らかな誤訳です。

自動翻訳Cは「ここで靴を脱いでください」という意味になり、一見すると正しく訳せています。しかし、原文の「脱いだ靴はこちらへ」にある、「脱いだ靴を靴置き場に置いてください」というニュアンスが訳されていないため、英語ネイティブには説明が不十分です。この場合、たとえば、"Remove your shoes here and place them inside this storage box."とすると、明確かつ親切な翻訳になります。

文法ミスやスペルミスにも要注意!

文法上のミスやスペルミスも大きな誤解を生むことがあるので、注意が必要です。単純な文法ミスによる例をひとつ挙げてみます。電車、バスなどに設置されている優先席での表示です。

「乳幼児をお連れの方」
"Persons with the baby"

英語で「the」は定冠詞といい、物事を特定して指すニュアンスを持ちます。「the baby」としてしまうと、「その赤ちゃんを連れている人」となり、英語ネイティブには違和感があります。この場合は不定冠詞の「a」を使って「a baby」とするのが適切です。 「the baby」と「a baby」という小さな違いのため、言いたいことは理解してもらえるかもしれませんが、やはり適切とは言えません。

次に航空会社のポスターなどでありそうなスペルミスの例をひとつ。

"Have a nice fright!"

一見、問題なさそうに見えますが、「フライト」のスペル「flight」が「恐怖」を意味する「fright」になってしまっています。簡単なスペルミスですが致命的な間違いです。「素敵なフライトを!(Have a nice flight!)」ではなく、「素敵な恐怖の旅を!」ではジョークにもなりません。

英語ネイティブによる翻訳やチェックが重要

たとえ単純な案内文だとしても、不自然な英語や間違った英語を使ってしまっては、かえって英語ネイティブを混乱させてしまう原因となります。一見正しいように見えても、ネイティブには不自然に感じられる表現は多々あります。特に公共の場に出す案内表記の場合は、明確で正しい英語にすべく、英語ネイティブによる翻訳やチェックが重要になるでしょう。

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株式会社アークコミュニケーションズ「翻訳会社アークのブログ」編集チーム
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