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東証上場企業の英文開示実施状況を独自分析【2023年末時点】

東証上場企業の英文開示実施状況を独自分析【2023年末時点】
2024-03-22 11:00

東京証券取引所の市場区分再編などの動きに伴い、上場企業によるIR関連資料の英文開示が広まってきました。さらに、2025年4月1日から決算情報や適時開示情報の英文開示が義務化される方針が発表されており、これらの資料の英文開示がさらに進むことが予測されます。

今回は、東証が公開している2023年末時点の調査データを独自に分析し、2023年の東証上場企業の英文開示動向を見ていきます。

※データ分析に際しては細心の注意を払っておりますが、分析の正確性を保証するものではないことを予めご承知おきください。

>>2022年末時点の調査データを分析した記事はこちら

東証プライム市場の英文開示実施率は約98%

東証が開示している資料を分析した結果、東証上場企業3,837社のうち、英文開示を実施している企業の割合は59.0%となりました。
2022年末時点の60.4%より1.4%微減しており、実施企業数は28社減って2,265社となっています。

市場別に見てみると、コーポレートガバナンス・コードで積極的な英文開示を求められているプライム市場の実施率が98.1%(約1,650社中およそ1,620社)と、2022年末に続き高い水準に達しています。

また、スタンダード市場の実施率が2022年末の23.9%から29.2%まで上昇しています。
2023年はプライム市場からスタンダード市場へ移行した企業が160社超ありました。もともとプライム市場で英文開示をしていた企業がスタンダード市場に加わったことで、スタンダード市場の英文開示実施率が高まったものと考えられます。

なお、グロース市場の英文開示実施率は31.8%となっており、2022年末の30.1%から微増しています。

決算短信の英文開示率が90%超え

続いて、英文開示を実施している企業2,265社が、どのIR資料を英文開示しているかをグラフにまとめてみました。

過去3年の分析と同様に、2023年末時点で最も英文開示が行われている資料は「決算短信」となりました。「一部開示」と「開示」の合計割合は90.1%と2022年末より3.4%増加。2,040社が決算短信を英文開示しています。

次いで多いのが「株主総会招集通知」で79.4%(1,798社)、「IR説明会資料」で65.0%(1,473社)、「適時開示資料(重要事実)」で46.1%(1,045社)となっており、それぞれ2022年末時点と比較して1.7%~2.7%ほど増加しています。

このほか「コーポレートガバナンス報告書」、「有価証券報告書」、「IR説明会資料」については、それぞれ英文開示実施率が微増もしくは微減しています。
昨年に引き続き、英文開示が行われやすい資料とそうでない資料の差がより開いたと言えそうです。

プライム市場における決算短信と適時開示資料の英文開示実施状況

東証が2024年2月に公開した「プライム市場における英文開示の拡充に向けた上場制度の整備の概要」では、決算情報および適時開示情報については、2025年4月1日以後に開示するものを対象に、英文開示を義務化することが示されています。

そこで、プライム上場企業1,656社の「決算短信」および「適時開示資料(重要事実)について、2023年末時点の英文開示実施率を独自に集計してみました。

2023年末時点で、プライム上場1,656社のうち「決算短信」を英文開示している企業の割合は91.7%となっています。ただし、その内の半数弱(44.0%)は一部開示に留まっています。

「適時開示資料(重要事実)」については英文開示の実施率は52.1%に留まっており、さらにこちらも内24.1%が一部開示となっています。

先述の東証の資料によると、留意事項として、これらの資料は「全書類・全文について同時開示することが望まれるが、日本語における開示の内容の一部又は概要を英語により開示することでも可」とされています。
2025年4月1日の義務化に向けて、2024年は決算情報と比べて実施率が低い適時開示資料の英文開示が活性化すること、またすでに一部開示を行っている資料の全部開示が進むことが予測されます。

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