まるで人間とするかのように自然な会話ができる「ChatGPT」が大きな話題となっています。ChatGPTに頼めば文章の翻訳も可能ですが、人間の翻訳者による翻訳とどんな違いがあるのでしょうか?
ChatGPTによる翻訳の特徴
ChatGPTは、人間を相手に会話をする感覚でテキストを生成できる人工知能チャットボットです。質問をして答えてもらうという使い方が基本ですが、Google翻訳やDeepL翻訳などのAI翻訳ツールのように使うことができます。
例えば「私はサッカーが好きです。」を英語に翻訳したい場合、次のような文章を入力することですぐに訳文が返ってきます。
入力文:次の文を翻訳してください。「私はサッカーが好きです。」
ChatGPTの返答:I love soccer.
逆に「I love soccer.」を日本語に訳したい場合も同様です。
入力文:次の言葉を翻訳してください。「I love soccer.」
ChatGPTの返答:私はサッカーが大好きです。
さらに、ChatGPTの翻訳では、専門のAI翻訳ツールのように言葉のトーンを指定できる特徴があります。
入力文:次の言葉を幼児の言葉に翻訳してください。「I love soccer.」
ChatGPTの返答:ChatGPTの返答:サッカーだいすき!
入力文:次の言葉をフランクな言葉に翻訳してください。「I love soccer.」
ChatGPTの返答:サッカーが大好きだよ。
入力文:次の言葉をとても丁寧な言葉に翻訳してください。「I love soccer.」
ChatGPTの返答:私はサッカーを心から愛しております。
このようにChatGPTを使えば誰でも手軽に翻訳ができますが、専門のAI翻訳ツールほどの正確性はありません。
入力文:次の文を若者の言葉で翻訳してください。「I am playing soccer.」
ChatGPTの返答:サッカーしてる中!
このような些細なミスや誤訳が起きることがあるため、ChatGPTの訳文を使用する際には注意が必要です。
AI翻訳と翻訳者による翻訳の違い
ChatGPTによる翻訳も含め、AIを利用した翻訳の精度はかなり高く、短くて意味がクリアな文章であれば、ほぼ問題なく使用できます。しかし、長くて複雑になると翻訳精度が落ちてしまう傾向があります。
また、原文のニュアンスを読み取る力は人間と比べるとまだ弱いため、ハイコンテクストな言葉やことわざ、イディオム(比喩的な表現:「顔が広い」「心が狭い」など)、あるいはユーモアのや皮肉がこめられた文章の翻訳では、原文で伝えたかった意味とは異なる翻訳結果になることが多々あります。
翻訳者が翻訳する際には、ドキュメントをどういった場面で使用するかなどをヒアリングしたり、関連書類の収集なども行います。この情報をもとに翻訳作業を進めるので、より最適な翻訳物に仕上げることができます。
文化や歴史などに依存するハイコンテクストな言葉や、専門用語などを適切に翻訳できること、必要に応じて注釈や補足を入れるなどの対応を行えることが、AI翻訳ではまだ実現できない翻訳者の強みです。
ほかにも、言葉遣いやトーンや用語の統一といった点でも、AIによる翻訳と翻訳者ではまだ差があります。
ChatGPTによる翻訳のメリットとデメリット
ChatGPTによる翻訳には、訳文が出る速度が速いことや、作業の手間が少ないこと、誰でも簡単に一人で作業できること、無料でできることなどのメリットがあります。
スマートフォン向けのアプリも登場しているため、いつでもどこでも翻訳ができる点も大きな利点でしょう。
一方で、翻訳が必ずしも正しいとは限らない点は大きなデメリットです。特に外国語に詳しくない人が使う場合、ChatGPTによる翻訳が正しいかどうかの判別がつかないため、間違った訳文を使用してしまうリスクがあります。
また、ChatGPTに打ち込んだ文章は、学習データとしてChatGPTに収集されます。オプトアウトをしない設定もできますが、まだ情報漏洩のリスクはゼロではありません。実際に海外では、ChatGPTに入力した情報が漏洩する事案が発生したことで、ChatGPTの使用を禁止とした企業もあります。
ChatGPTが向いている翻訳と向いていない翻訳
ChatGPTによる翻訳が向いているケースとしては、機密情報や個人情報が含まれていない文章の概要の把握や、日常的なコミュニケーションのサポートなどがあります。
一方で、IR資料の英文開示、ニュース・プレスリリース、書籍などの外部に正式な文章として公開する文章、あるいは契約書などの法律関係の書類、専門用語が多く含まれる書類は、セキュリティ保全が万全とはまだ言えないChatGPTでの翻訳は避けるべきでしょう。
こうした機密情報や個人情報が含まれている文章や高い正確性が求められる文章の翻訳は、翻訳会社に依頼するのが最善です。
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