2022年4月に行なわれる東京証券取引所の市場区分再編に向けて、2021年はIR関連資料の英文開示に取り組む企業がより増加した一年になりました。いよいよ市場区分再編が間近に迫り、東証に上場している企業のうちどのくらいの企業が英文開示を実施しているでしょうか?
今回は、現時点(2021年2月)で東証が公開している2021年末時点の調査データを独自に分析し、英文開示実施の動きを見ていきます。
※データ分析に際しては細心の注意を払っておりますが、数値の正確性を保証するものではないことを予めご承知おきください。
※2020年末時点の調査データを分析した記事はこちら
東証全体および市場別の英文開示実施状況:第一部の実施率が約8割
東証より開示されている資料を分析した結果、東証上場企業3,771社のうち、英文開示を実施している企業の割合は約53%となりました。企業数で見ると2020年末の約1,800社から200社近く増えており、およそ2,000社が何らかのIR関連資料について英文開示を実施していることになります。
市場別に見てみると、東証第一部について、実施率が2020年末時点での実施率72.4%からさらに増加し80%に迫っています(約2,200社中およそ1,700社)。第一部上場企業のうち8割超がプライム市場に移行するとされており、コーポレートガバナンス・コード遵守に向けて企業の英文開示が進んだ状況が伺えます。
一方で、東証第二部やマザーズ、JASDAQについても、少しずつですが英文開示実施率が増加しており、東証全体で英文開示が着実に進んでいる状況が読み取れます。
資料別の英文開示実施状況:決算短信や株主総会招集通知が高実施率
2020年末時点の分析と同様に、英文開示を実施している企業およそ2,000社の中で、最も英文開示が進められている資料は「決算短信」となりました。約74%(約1,500社)が決算短信の英文開示を実施しており、また22年4月以降に実施予定の企業も約100社(約5.3%)あります。
次いで多いのが「株主総会招集通知」で約63%(約1,300社)、「IR説明会資料」で約60%(約1,200社)です。特に株主総会招集通知については22年4月以降に実施予定の企業が約100社(約7.3%)あり、英文開示実施率が今後さらに上がることが予想されます。
2021年8月に東証が公開した海外投資家向けのアンケート調査結果によると、「英文開示を必要とする」回答の割合が最も大きかったのが決算短信、2番目がIR説明会資料となっています。これら2つの英文開示実施率が高まっていることは、海外投資家の需要に応えるための動きといえるでしょう。
一方で、同アンケートで3番目と4番目に回答割合が大きかった「適時開示資料」や「有価証券報告書」については、英文開示がまだ進んでいない現状が見て取れます。
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