日々進歩し続ける医学の世界では、世界中で新薬や医療機器の開発が進められ、次々と新しい研究が発表されています。医療と翻訳は一見無関係に見える異なる分野ですが、実は切っても切り離せない関係にあります。医療の発展を翻訳が支えているといっても過言ではありません。そのため、需要が高く不況に強い翻訳分野であり、改めてその注目が高まっています。医療翻訳が不況に強い理由と、その課題について掘り下げていきます。
多岐にわたる医薬翻訳の種類
ひと口に医薬翻訳と言っても、翻訳するものは非常に多岐にわたります。そのなかでも、特にニーズの高い学術系、医薬系、医療機器の3つをご紹介しましょう。
まず、学術的医療に特化した学術系翻訳です。医師が英語で論文を作成するための英訳や、海外で発表された記事を日本の医学系雑誌に掲載するための和訳などが、これにあたります。
次に、医薬品に特化した医薬系翻訳です。医薬品や治験に関する研究資料、またそれらの承認申請資料を主に翻訳します。海外で開発された新薬の研究資料やその承認申請資料の和訳、また治験に関する資料の和訳などが例として挙げられます。
そして、海外製医療機器の国内使用や、国産医療機器の海外販売に必要になるのが、医療機器系翻訳です。医療機器の取扱説明書や商品説明の翻訳がメインになります。 この他に、上記に分類されないもので、医薬部外品、化粧品、バイオ関連、サプリメントなども需要が高まってきています。
不況の中でも高まる需要
冒頭でも触れましたが、医療翻訳はその安定したニーズが特長です。医療は人間の生活と切り離せないため、常に求められている翻訳分野であると言えるでしょう。
高需要のため不況に強く、リーマンショックによる世界的不況の中でも、医療分野の翻訳依頼は減らなかったといわれています。時代の流れや景気変動に左右されないことは翻訳者にとっては魅力的な分野です。
医療翻訳の抱える課題
その高い需要と将来性から、他分野から医療翻訳への転身を考える翻訳者も少なくありません。しかし、医療翻訳は決して容易ではなく、翻訳者には多くの知識やスキルが求められます。
まず、医療翻訳においては、膨大な専門知識が必要です。学術系と医薬系では医学・薬学・化学に関する知識、医療機器系ではITに関する知識も求められます。また、生化学や遺伝子工学、物理学などのより広い専門知識が必要な分野もあります。そして、何よりも重要なことは、万が一、誤訳があれば人命が左右される場合もあることです。絶対にミスは許されないのです。
求められるレベルが高いのは、専門知識だけではありません。医療翻訳者として活躍するには、和英・英和両方の翻訳スキルが必要です。海外でリリースされた新薬や論文、医療機器などを日本に導入する際は、和訳のスキルが求められます。また、海外へ日本の新薬や医療機器の販路を拡大する際は、英訳のスキルが必要です。現在のところ、英和翻訳の需要がやや日英翻訳を上回っている状態です。しかし、今後日本の医療技術の海外進出が増加すれば、日英・英日両方の翻訳をこなせる人材が必要になります。この両方を兼ね備えた翻訳者が不足しています。
まとめ
医療翻訳は、景気にかかわらず安定した高い需要を誇り、将来性のある翻訳分野です。しかし、十分に活躍できるまでの道のりは非常に険しいものです。そのぶん、必要な知識を習得し、クライアントの求めるレベルの翻訳スキルを身につければ、非常に有意義な活躍の場が待っていると言えます。何より人の命に関わる分野の翻訳であり、その困難さよりやりがいが勝ることでしょう。
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