ニール・アームストロングは、小さい頃から飛行機が大好きな子どもでした。小学校のころには飛行機の精巧な模型を作りはじめ、当時の夢は航空デザイナー。宇宙飛行士になったのもいいデザインを作るためには航空機の操縦も知る必要があると思ったからなのだというから、その熱中ぶりは相当なものでした。
そういった経緯もあって、彼は宇宙飛行士になるまで約10年にわたってテストパイロットとして活躍します。知識と経験に裏打ちされた飛行技術は折り紙つきで、数々の先輩飛行士から「技術が高い」「度胸の据わった男」と言われるほどだったそうです。
その後宇宙飛行士としてジェミニ8号、ジェミニ11号、そしてグローバルにも知られるアポロ計画に携わったのは、世界中の誰もが知るところですよね。
しかし実は、ニールが出した宇宙飛行士選抜の志願書は提出期日を1週間も過ぎていて、テストパイロット時代の同僚だったディック・デイがニールの志願書をそっと移動させなければ、彼が宇宙飛行士になることはなかったのだとか。彼の強運と宿命が伺い知れるエピソードです。
"That's one small step for a man, one giant leap for mankind.(これは1人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である)"
この英語の文章はニールが月に降り立ってすぐに発した言葉として世界各国の言葉に翻訳され、今も語り継がれています。しかし実際には、彼は"a man"の"a"を間違って省略してしまったと言われています。
英語で"a man" は「1人の人間」という意味ですが、"man"だと「人類」をあらわし、意味が通らない文章になってしまいます。後にニールはこの言い間違いを認め、「歴史が私の言い間違いを許す寛容さを持ち、人類が一つになる方向に向かって進むことを希望する」と述べたのだそう。
英語の文法的には間違いがあったとは言え、こんな名言を思いつくとはさすがというところですが、彼は月面に着陸してから数時間かけてこの名言を考えたのだとか。
世界的な有名人のニールと言えど、現代のビジネスパーソンのように挨拶で何を言おうか考えてやきもきする瞬間も少しはあったのかもしれませんね。
さて、この名言はどのように翻訳され、世界に広まったのでしょうか。同僚によると、フランス語では不定冠詞の「a man/un homme」を避け、元の音声に合わせて曖昧な「man/l'homme」が使われ、「Un petit pas pour l'homme, un grand pas pour l'humanite.」と訳された一方、イタリア語では「a man」と言った前提で「un uomo」が前半の主語になり、「Questo e un piccolo passo per un uomo, ma un grande balzo per l'umanita.」になったそうです。隣同士の、言語的にさほどかけ離れていない国同士でも違いがみられるようですね。
ちなみに日本語訳にも様々なバリエーションがあり、「この一歩は小さいが、人類にとっては偉大な躍進である」のように、「この一歩」を踏み出した主語が曖昧な訳もあるようです。こうした差異の背景には簡潔にするため、分かりやすくするため等様々な理由があると考えられますが、月から中継した音声にノイズが混ざっていたせいでニールが本当に"a man"と言ったのか、それとも"man"と誤ったのか、長年わからないままだったためかもしれません。
この章で取り上げたニールの発言に限らず、英語の文章はアルファベット1文字の有無で意味が大きく変わってしまう場合があります。曖昧な原文を自然な日本語に置き換えていく翻訳作業には、時として想像力も必要になるのです。
宇宙飛行士としての素養の1つにどんなトラブルにも取り乱さない冷静沈着さがあげられますが、ニールも例にもれずクールな性格の持ち主だったと言われています。
宇宙飛行士を退官した後の1979年、ニールは自宅の農場で農作業をしていて指を機械に巻き込まれ、薬指を切断してしまいました。しかし彼は少しもあわてることなく切断された指を氷に詰め、病院に向かったのだそう。
ほかにもアポロ計画の後有名になったニールのもとには数々のグローバル企業や政界などから誘いがありましたが、彼はいくらお金を積まれても、自分の信念にそむくことには首を縦に振らなかったと言います。
死後数年経ってもその功績が語り継がれるのは、そんなニールのまっすぐな姿勢も影響していたのかもしれませんね。
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