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小学校の英語活動の必修化から考える"グローバルな人材"の育成

小学校の英語活動の必修化から考える
2015-05-13 10:09

平成23年度から小学校の5年生と6年生の外国語活動が必修化されました。2020年の東京オリンピック開催も見据えて、やがては英語が教科となる予定です。小学校での外国語学習は、グローバルな人材の育成にどのように貢献できるのでしょうか。

小学校での外国語活動の現状

平成23年度から実施されている学習指導要領に基づき、現在、5年生と6年生は週に1時間ずつ外国語活動として英語を学んでいます。学校や地域によってばらつきはありますが、それ以外の学年でも総合的な学習の時間を利用して英語を学ぶケースも多いようです。多くの小学生にとって、英語に触れる機会は増えているといえます。

外国語活動は英語に慣れ親しむことを目的としており、子供たちは歌やゲームを通じて英語に触れていきます。音声に慣れることを重視しているため、活動は「聞く」と「話す」が中心で、言語や文化への理解も深めながら、コミュニケーション能力の基礎を身につけていきます。教科ではないため評定の対象にはなりません。また、テストもないので、多くの子供たちはリラックスして英語の時間を楽しんでいます。

シンガポールの子供の英語教育

アジアは英語教育に熱心な国が多いので、日本の英語教育でも参考になることがあるでしょう。例えば、日本と同様に天然資源に乏しく、少子高齢化が進むシンガポールは、人材育成に力を入れている国です。政府は「人的資源が唯一の資源」として教育を進めており、英語教育にも先進的でバイリンガルやトリリンガルの人材の育成に成功しています。

公立の小学校では、道徳や歴史などの科目以外はすべて英語で行われ、小学校のうちから能力別のコース分けが実施されています。自分の能力に合ったコースで学習でき、下位のコースに振り分けられたとしても、能力が向上すれば上位のコースに上がる可能性も開かれています。

シンガポールでは英語が公用語となっているため、学校以外でも子供たちはいろいろな場面で英語に触れることができます。例えば、道路標識は英語で表示されており、国内は外国人が多いため自然に英語を耳にしています。また、「シングリッシュ」という、現地語と英語が混在した言葉もよく使われています。

日本の英語教育のこれから

日本とシンガポールの英語教育を単純に比較することはできませんが、シンガポールから学ぶ点は多くあります。例えば、シンガポールの英語教育が成功している理由のひとつは、英語に触れる機会の多さにあるといえるでしょう。日常生活で英語などの外国語を目にしたり耳にしたりする機会が多く、学校に行けば授業は英語で行われています。さらに、外国人と接する機会も多くあります。

日本を訪れたり、日本に住んだりしている外国人が増えたとはいえ、多くの日本人にとって、日常的に英語と接する機会はほとんどありません。そのなかで、シンガポールと同様の結果をすぐに求めるのは難しいでしょう。 だからこそ、まずは外国語に慣れ親しみ、実用的な表現に触れ、コミュニケーションする楽しさや重要性を知る機会を学校が提供することには大きな意味があります。たとえ完璧ではない英語だとしても、「伝えたい、理解したい」という気持ちをもって話し、相手の言葉を聞こうとすることはコミュニケーションの基礎になるでしょう。

また、成績やテストとは関係なく、人と理解し合うための手段としての言語を学ぶ機会も重要です。現在、小学校では音声を中心とした英語教育が行われていますが、中学校になると「読む」と「書く」が重視されるようになり、テストや成績の対象にもなるため、興味を失う子供が多くなる傾向にあります。日常的に英語に触れることが難しい環境では、コミュニケーションの重要性や楽しさを感じられる外国語教育を提供し続ける必要があるでしょう。

まとめ

インターネットやテレビなどで、子供が英語やほかの外国語に触れる機会は格段に増え、外国語に興味を持つ子供も増えています。子供が興味を失わないよう、テストや成績のためだけの外国語ではないことを知ってもらい、コミュニケーションの楽しさや大切さを感じられる外国語教育のあり方を探っていくことが、日本のグローバル化への大きな一歩になるでしょう。

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