NHKの朝ドラで人気を博した『花子とアン』は、赤毛のアンを日本語に翻訳した村岡花子さんが主人公です。主人公の心の動きやカナダの自然、日常生活をみずみずしく表現した『赤毛のアン』は、戦後発表されると一躍有名になりました。女性には愛読者も多く、その名を知っている人も多いのではないでしょうか。
女性翻訳者の先駆けである村岡花子さんの生き方から、翻訳の持つ魅力の秘密を探ります。
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NHKの朝ドラで人気を博した『花子とアン』は、赤毛のアンを日本語に翻訳した村岡花子さんが主人公です。主人公の心の動きやカナダの自然、日常生活をみずみずしく表現した『赤毛のアン』は、戦後発表されると一躍有名になりました。女性には愛読者も多く、その名を知っている人も多いのではないでしょうか。
女性翻訳者の先駆けである村岡花子さんの生き方から、翻訳の持つ魅力の秘密を探ります。
赤毛のアンの翻訳を魅力的にしたのは、何と言っても、女学院でカナダ人の先生と生活を共にして、カナダの生活習慣や考え方を学んだこと、授業でカナダ人から音楽や編み物、洋裁、体操、料理などを学んだことが大きいでしょう。学校がミッションスクールだったので、キリスト教への理解が深かったことも影響しています。
『赤毛のアン』では、料理や編み物、洋裁といった日常生活の何気ない描写が多く登場します。日本にいながらにして、そういった描写を自然で違和感なく訳せたのは、寄宿舎生活でカナダ人と生活を共にしたことが大きく役立ったはずです。
翻訳には、原文を正確に理解するための十分な語学力、加えて日本語で正確かつ自然に表現する日本語力が欠かせません。さらに文化や宗教などの背景の理解も不可欠ですが、花子は女学院での生活を通じてこの3つの要素を十分に身につけていたことが、数々の魅力的な翻訳作品を生み出す基礎になりました。
花子の作品には、常に人が心豊かに希望を持って生きられるようにという願いが込められています。英語が好きだったことや家計を支えなければならなかったことなど、花子が翻訳に精力的になったことには数多くの理由があります。しかし、子どもや女性、そして全ての人がより良く生きられるようにしたいと思いが何よりもその原動力でした。
花子が女学院に入学した当時は、女性には学問は必要がないと考えられており、結婚して家庭を守るのが常識でした。しかし、花子は、学ぶことで心が豊かになり世界が広がることを痛感しました。子どもや女性の心を育む読み物が必要だと考え、外国の作品を精力的に翻訳するようになり、自らが小説を書いたりすることもありました。
翻訳だけでなく、女性の参政権を求める運動に参加したり、子供のためのラジオ番組に出演したりするなど、全ての人が幸せに暮らせる社会にしたいという強い思いがありました。その思いは全ての作品の根底に流れています。
『赤毛のアン』の主人公・アンの魅力は、孤児で身寄りがない身でありながら、卑屈になることなく、常に希望を持って毅然とした態度で生きているところです。アンは人に自分の人生を預けることなく、自分で責任を持って生きました。これは、女性は男性に無条件に従うのではなく、できる限り社会的な責任を果たす必要があるという花子自身の考えに通じます。
時代が変わった今でも、自分の人生への責任や社会的な役割と真正面から向き合うことはとても大変なことです。英語という武器を身につけて、社会や他者のために使うという責任感のある花子の姿勢は、現在でも変わることなく魅力的で尊敬されています。
高い語学力と文化と宗教への深い理解、全ての人がより良く生きられるようにしたいという思い。村岡花子さんの生涯には翻訳やローカライズの原点を学ぶことができます。翻訳とは端的に言えば、相手が分からないことを分かりやすいように伝えることです。文化、宗教の理解や他者への思いやりを根底に持っておく必要があります。そういった他者理解の心がけが、効果的なローカライズの発想力につながるとも言えるでしょう。
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