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この6月に東京証券取引所が適用を始めた「企業統治指針」において、東証一部または二部の上場企業は原則として2名以上の社外取締役を置くことが指導されます。アークコミュニケーションズ(以下、アーク)では2005年の創業当時から、時代に先駆けて社外取締役を設置しています。
今回は10周年を記念し、このような中小企業における社外取締役の役割と果たしてきた機能について10年を振り返り、さらにアークの未来について、社外取締役と代表取締役の4人での座談会の内容をお届けいたします。
左より松崎、間瀬、大里、新堀
大里:お陰さまで、無事に10周年を迎えることができ、感慨深いものがあります。
松崎:私は就任半年の新人ですが、10周年を無事に迎えられた秘訣は何だと思いますか?
大里:お客様に恵まれたこと。翻訳者、派遣スタッフ、SOHO、ベンダーなど、パートナーの方々に恵まれたこと。社員に恵まれたこと。色々な方がわたしたちアークに、厳しいご意見も含め、率直なフィードバックをくださり、育てて下さったことを感謝しています。社外取締役の皆さまにも随分鍛えていただきました。
新堀:そもそも、なぜ創業時から社外取締役をおこうと思ったのですか?
大里:理由は3つありました。まず、オーナー社長は必ず暴走する(笑)。そのお目付け役が欲しかったこと。2つめは、一人で孤独に判断しなければいけないときの相談相手がほしい。3つめは、小さな組織ですので外部からの新鮮な風が必要だろうと考えたからです。
間瀬:社外取締役に対して期待していることはかなり明快だったのですね。
大里:皆さまの方こそ、大里のことをどう捉え、どういう気持ちで引き受けて下さったのでしょうか?
間瀬:大里さんとは、2001年にケロッグの日本同窓会で知り合いました。キラキラと明るく輝く存在に、先輩として憧れも感じていました。2005年、アークの創業当初に社外取締役の相談を受けたときは、私自身もベンチャー立ち上げを準備しているときで、学べることも多そうだ、と直感しました。以来、後輩として言いたい放題、発言させていただいています。
新堀:大里さんにお会いしたとき、社長業をしながらスキーオリエンテーリングの競技に出るなんて、なんて活動的な人だろう、と感心したのを覚えています。就任前の年に、毎月2回、ご自宅にお電話で大里さんの個人的なコーチングをして、考え方を整理するお手伝いをしていました。その延長から社外取締役という話が出たと記憶しています。
松崎:大里さんの第一印象は、「大きなよく通る声で臆せず話す人」。そして、「ほどよく図々しく、年齢不詳!」(笑)。常に元気でエネルギッシュな人と感じてきましたが、「理論派」であることに遅ればせながら気がつきました。私の勤務先にも外部のアドバイザーがおり、どうすれば会社と外部アドバイザーとの間で有意義なコミュニケーションが図れるのかについて興味を持っていたところでした。また、外部からのガバナンスの監視がどう企業の業績アップにつなげられるのかが時代の関心ともなっており、自分がそこに参画できることに意義を感じて、お引き受けしました。
大里:社外取締役の機能は経営者の監督だと言われます。しかし2カ月に1回開かれる取締役会にしか出席しない社外取締役に、どのようにしたら会社の現状を正確にご理解いただけるか、試行錯誤でした。
間瀬:起業当初から事業部ごとの損益計算書の実績と3カ月の予測が提示されていました。創業以来、一度も赤字は出していませんが、予測ベースでは赤字が続く厳しい時期もありました。しかし、数値がガラス張りなので、各事業部のビジネスの特性を充分に理解することができ、社外取締役の立場でも的確なアドバイスができたと思っています。
大里:アークは企業当初から事業ごとに月次決算を行い、社員に情報を公開していたので、その資料をそのまま取締役会用に転用していました。取締役会用に特別に資料を作成していたわけではなかったので、実は簡単でした。
新堀:10年間、社員が月次決算資料を見続けている成果は確実に出ていますね。アークは社員の一人ひとりが自分のしている仕事が会社の利益にどうつながっているのか、常に意識する風土があります。だから社員の皆さんは取捨選択が上手で、アークが色々なことに取り組んでも経営がおかしくならない秘訣は、こういうところにあるのだと思います。
大里:社員ががんばって対応してくれるので、私は気づいていなかったのですが、取締役会で、「大里さんは新しいことを始めるのがお好きですが、既存事業を倍に伸ばすのと、(社員を振りまわして)この新しい事業で同じ売上を稼ぐのと、今どちらを優先すべきと経営者として判断していますか?」と質問され、「あぁ、これが社長の暴走を止めるってことなのかなぁ」と思ったことは今でもよく覚えています(笑)
新堀:社外取締役として、正しい判断をするために、財務諸表以外の情報をどのように入手し活用すればよいのかは考えさせられましたね。アークの外の世界に通じていることは社外取締役ならではの強みですが、やはりアークの内情にもある程度通じないと・・・
間瀬:お客様、派遣スタッフ、社員などからの意見や指摘は、取締役会でもよく知らせていただいていたと思います。今思うと当初の取締役会は、もぐらたたきのように、たまたま起きた個々の事件を通して、そこからアークの内情を推察し、課題を発見し、解決していく手法でしたね。
松崎:確かに一つの事例を深く考察することで、お客様がアークに何を求め、アークはお客さまの期待にどう応えようとしているのか、アークの姿勢がよくわかります。
大里:大小、内外関係なく、出来るだけ具体的な事例を伝えることで、アークへのご理解を深めていただこうと思っていましたから。ただそうすると、どうしても上手くいっていないことの報告や相談が多くなります。「社内事情をあまり知らない取締役から手厳しいアドバイスをいただいてしまったなぁ・・・」と恨めしく思うことも正直ありました(苦笑)
間瀬:なんだか、社外取締役は大里さんに厳しい指導ばかりしていたようですね(笑)
大里:いえいえ、相談相手に随分なっていただきました。私の不安な様子を察知すると、「経営者は孤独だって言うけど、大里さんには私たちがいるからね!」とエールを送って下さいました。社員に相談出来ないことでも、社外取締役になら相談出来ることもあり、心強かったです。
松崎:社外取締役が「お目付け役」としても「応援団」としても機能したんですね。
大里:はい。「社外」取締役と言う響きは、ともすれば離れた所にいる人のイメージがありますが、アークの社外取締役の場合は、もっと近いところにいる人、「戦友」に近いです。また、大里がほどよい図々しさを発揮したので、社外取締役自らが体を動かして、課題解決までして下さったというところが、アークの社外取締役の素晴らしいところです(笑)
松崎:大里さんの真髄発揮というところでしょうが(笑)、社外取締役がどんな実務をしていたのか、私の半年間の経験だけでは具体的なイメージが十分には湧きませんが・・・。
松崎:社外取締役が、創業当初は実務も手伝っていた、と言われていましたが、実際にはどんな実務をされていたんでしょうか。
大里:例えば社員の退職が起こると、これを個人と会社の相性の問題として片付けてよいのか、それとも会社として何か問題が隠されており対応しなければいけないのか、という議論が起こります。そういう時に、社外取締役が納得するような説明を私が十分に出来ないこともありました。
間瀬:そこで、退職者が出るたびに私がインタビューを行い、そのフィードバックを役員会で報告し、少しずつ会社の仕組みに反映してもらうということを2年ほどやっていました。当初は、「会社としての体制がなっていない」というコメントがよく聞かれましたが効果は徐々に現れ、退職者のコメントの質がどんどん変わっていったことで、アークの組織としての成長を感じました。
大里:社員がお客様第一で考えてくれることに甘えて、ついつい社内のことは後回しにしがちで。でも、社員インタビューから、会社としてなすべき優先順位がクリアになり、教育制度や評価制度を整えられたのは、この後押しのお陰だと思います。おかげさまで、対症療法的な対応ではなく、組織的な対応が出来るようになり、会社も組織として成長してきたと思います。
新堀:伸び悩んでいる社員には、私が定期的にコーチングもしていましたね。当時は個々の出来事に社員の方と直接対話し、深く知ることが、会社全体の状況の理解につながり、それが有効に働いていたフェーズでもありました。
大里:私から指示されたことをするのではなく、スタッフ自らが最適解を導き出すために、コーチングをしていただいていたのですが、新堀さんにもそういうメリットがあったのですね。
間瀬:取締役会以外の情報源、つまり直接社員から本音を聞けることは私にとっても有意義でした。社外取締役の機能は経営者の監督ですが、オペレーションが確立していない会社においては、実務の部分にかかわっていくことで内情がよく把握でき、監督責任を負える気がしますね。
大里:創業期は、通訳者や弁護士の方にも社外取締役をお願いしていましたので、その専門性を活かした実務のところでも助けていただいていました。こう振り返ると、私がいかに人使いが荒かったか(笑)、いえ、いかに社外取締役を頼りにしていたのかが、わかりますね。
松崎:先任の社外取締役の方々は、随分実務にかかわってこられたんですね。社外取締役に期待される役まわりが、大企業とは大きく違う、ということがよくわかりました。私は、企業が暴走したり、枠からはみ出したりしないよう外部の目で監視し、チェック・アンド・バランスということで時々ブレーキをかけたり枠内に収めたりするのが社外取締役の役割だと思っていたのですが、しかしアークのような若い企業では、社外取締役が、足りないファンクションをテンポラリーに補って成長を促す機能や、枠を突破するためのアドバイスをするなど、推進力の一翼をも担っていることを実感します。
大里:私が、当初、社外取締役に「お目付け役になる」「相談相手になる」「新鮮な風を吹き込む」の3つに絞ってお願いしたっていうのは真っ赤なウソでしたね(笑)
大里:最後に、将来に向けての課題をご指摘いただけますか。
間瀬:大里さんは、根っからの現場好きで「お客様のプロジェクトを成功させるのが一番楽しい!」というタイプですけど、最近は、取締役会でも「会社体制の整備」「権限の委譲」「見える化」などがテーマに挙がるようになりました。ベンチャーから、次のステージが見えてきた印象です。大里さん自らが細部まで監督しなくても、オペレーションできる組織を作ることが当面の課題だと思います。
新堀:それが、今のアークの優先事項ですよね。ただ、逆説のようだけど、経営にはアナログ感も重要だと感じています。トップの本気度、人の温もりなど、アナログ的な気持ちが伝わる会社が生き残ると思います。大里さんのカラーを大事にしながら、次のビジネスに種をまいて育てるのが一番でしょう。
大里:今まではどちらかと言うと、「よそ見をしないように」という注意のほうが多かったのですが、やっと、取締役から新しいことに手をつけることの許可をいただきました(笑)
松崎:社風が若いので、今後の10年はさらに多くの可能性が広がっていると感じます。そして、可能性がある分、大里さん自身の明確なビジョンも重要になりますね。従来の延長線上の成長を狙うのか、それとも地続きではないところから、新しい成長を求める必要があるのか。
間瀬:どちらの戦略を選ぼうとも、過去の資産やノウハウにとらわれすぎないことも必要になりますよね。
新堀:スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が、計画的偶発性理論というキャリア論を発表しています。若い頃から自分が志したことで成功する人は少なくて、80%の人は偶発的に出会った仕事で成功するというのです。つまり、今目の前にあることに一生懸命取り組みながらも、次に来たより良いボートにいつでも乗れる準備をしておくべきだ、ということです。いいボートを逃さずに乗れるようアドバイスするのも、私たちの役割だと感じています。
大里:はい。私が適切なタイミングで、より良いボートに乗れるように背中を押して下さい。今まで私は、お客様との具体的なプロジェクトの中から新しいサービスを生み出してきました。ところが、スタッフに現場を任せると、どうしてもお客様と実務の中で触れ合う機会は減ってしまいます。今までどおりにどんどん発想を生み出すために、活動の場をこれまでとは違う分野にも広げていきたいです。
松崎:現場以外からでもインスピレーションを得る方法はあると思います。既存ビジネスをスタッフに任せて作った時間をどう使うか、とても重要ですね。
新堀:「新鮮な風を吹き込む」という意味では、企業の変革を促すのも、社外取締役の役目のひとつだと思います。私はみなさんとかなり違ったカルチャーの企業で仕事をしてきた経験もあるので、今後新しいカルチャー作りにも携わりたいと思っています。
間瀬:社外取締役に期待される役割も、新しいフェーズに入ってきた感がありますね。社員ではない、ということで「新鮮な風を吹き込む」付加価値を出すフェーズから、市場やアークの実情を知った上で、今必要な新しい風を吹き込むことが求められるフェーズにシフトして行くでしょう。私たち社外取締役にとっても今後チャレンジングでワクワクします。
大里:アークの可能性は年々広がっており、私もとてもワクワクしています。アークがこれからも成長し続けるように引き続きお力を貸して下さい。社外取締役の皆さまが今まで通り、お客さまの立場にたって客観的に、でも愛をもってアークを見守って下さると、私たちも独りよがりではなく、お客様の満足を高めるサービスにつなげていくことが出来ると思います。そして、気の多い私がよそ見をしすぎないように、そして「成長」に対して怠けないように、これからもしっかりと監視してください(笑)。ありがとうございました。
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