社外取締役に聞く!アークコミュニケーションズの10年と未来
社外取締役は、社長のお目付け役であり応援団であり実務者
松崎:社外取締役が、創業当初は実務も手伝っていた、と言われていましたが、実際にはどんな実務をされていたんでしょうか。
大里:例えば社員の退職が起こると、これを個人と会社の相性の問題として片付けてよいのか、それとも会社として何か問題が隠されており対応しなければいけないのか、という議論が起こります。そういう時に、社外取締役が納得するような説明を私が十分に出来ないこともありました。
間瀬:そこで、退職者が出るたびに私がインタビューを行い、そのフィードバックを役員会で報告し、少しずつ会社の仕組みに反映してもらうということを2年ほどやっていました。当初は、「会社としての体制がなっていない」というコメントがよく聞かれましたが効果は徐々に現れ、退職者のコメントの質がどんどん変わっていったことで、アークの組織としての成長を感じました。
大里:社員がお客様第一で考えてくれることに甘えて、ついつい社内のことは後回しにしがちで。でも、社員インタビューから、会社としてなすべき優先順位がクリアになり、教育制度や評価制度を整えられたのは、この後押しのお陰だと思います。おかげさまで、対症療法的な対応ではなく、組織的な対応が出来るようになり、会社も組織として成長してきたと思います。
新堀:伸び悩んでいる社員には、私が定期的にコーチングもしていましたね。当時は個々の出来事に社員の方と直接対話し、深く知ることが、会社全体の状況の理解につながり、それが有効に働いていたフェーズでもありました。
大里:私から指示されたことをするのではなく、スタッフ自らが最適解を導き出すために、コーチングをしていただいていたのですが、新堀さんにもそういうメリットがあったのですね。
間瀬:取締役会以外の情報源、つまり直接社員から本音を聞けることは私にとっても有意義でした。社外取締役の機能は経営者の監督ですが、オペレーションが確立していない会社においては、実務の部分にかかわっていくことで内情がよく把握でき、監督責任を負える気がしますね。
大里:創業期は、通訳者や弁護士の方にも社外取締役をお願いしていましたので、その専門性を活かした実務のところでも助けていただいていました。こう振り返ると、私がいかに人使いが荒かったか(笑)、いえ、いかに社外取締役を頼りにしていたのかが、わかりますね。
松崎:先任の社外取締役の方々は、随分実務にかかわってこられたんですね。社外取締役に期待される役まわりが、大企業とは大きく違う、ということがよくわかりました。私は、企業が暴走したり、枠からはみ出したりしないよう外部の目で監視し、チェック・アンド・バランスということで時々ブレーキをかけたり枠内に収めたりするのが社外取締役の役割だと思っていたのですが、しかしアークのような若い企業では、社外取締役が、足りないファンクションをテンポラリーに補って成長を促す機能や、枠を突破するためのアドバイスをするなど、推進力の一翼をも担っていることを実感します。
大里:私が、当初、社外取締役に「お目付け役になる」「相談相手になる」「新鮮な風を吹き込む」の3つに絞ってお願いしたっていうのは真っ赤なウソでしたね(笑)
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