対談記事

2017年1月

スカパーJSAT アニュアルレポートを刷新
企画から制作までトータルで請け負いグローバルIRに貢献

有料多チャンネル放送事業の「スカパー!」で知られるスカパーJSAT株式会社。一方でB to B事業として利益率の高いグローバルな衛星通信事業を展開していることは、意外と世間に知られていません。そのスカパーJSATが、5年に一度の中期経営計画策定のタイミングに、アークコミュニケーションズと組んで英日のアニュアルレポートを刷新しました。

アークコミュニケーションズは、この重要な時期にアニュアルレポート全体の企画から最終的な印刷物・PDFの制作までお請けし、結果としてスカパーJSATのご期待にお応えすることができました。今回、同社広報・IR部の主要メンバーからお話を伺い、どうやって日本語版レポートをゼロから立ち上げ、さらに高品質な翻訳やデザインを実現していったか明らかにします。

左より渡邉、佐藤、大里、渡邊様、岩瀬様、春本様

プロフィール
岩瀬 恵裕  スカパーJSAT株式会社 経営戦略本部 広報・IR部 IRチーム長
春本 祥吾  スカパーJSAT株式会社 経営戦略本部 広報・IR部 IRチーム マネージャー
渡邊 陽子  スカパーJSAT株式会社 経営戦略本部 広報・IR部 広報チーム アシスタントマネージャー
大里 真理子 株式会社アークコミュニケーションズ 代表取締役
佐藤 佳弘  株式会社アークコミュニケーションズ 執行役員 Web&クロスメディア事業部長
渡邉 宏   株式会社アークコミュニケーションズ Web&クロスメディア事業部

よく知られたスカパー!事業と
B to B衛星通信事業の2本柱

大里:スカパーJSATというと、CS放送のスカパー!として一般の方は認知されていると思うのですが、B to B分野のJSAT事業については、ご存じのない方が多いと思います。まずは簡単に御社の事業についてご紹介いただけますか。

岩瀬様:スカパーJSAT株式会社は、2007年に有料多チャンネル放送事業を行っていた株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズと、衛星通信事業を行っていたJSAT株式会社が合併し経営統合してできた会社です。このため、現在のスカパーJSATには、有料多チャンネル放送事業と衛星通信事業という2本柱の事業が存在しています。
スカパー!はB to Cということもあって名前が一般によく知られており、衛星を使った有料多チャンネル放送事業でおよそ340万人くらいの契約者数です。一方の衛星通信事業は、日本だけでなく、アジア、太平洋地域を中心に事業展開しており、スカパー!の放送はもちろん、法人や官公庁などに幅広くご利用いただいています。

英語版から始まった
アニュアルレポート

大里:スカパー!しかご存じのないユーザーにとっては、グローバルに幅広く事業展開されていることは驚きかもしれません。ぜひ皆様にご紹介いただけますか。

岩瀬様:そうですね。実は有料多チャンネル放送事業も衛星通信事業もグローバルに展開しています。まず、有料多チャンネル放送事業では、2014年から『WAKUWAKU JAPAN』という、海外に日本のコンテンツを発信するビジネスを始めました。今はインドネシアやシンガポール、台湾などに展開しており、690万世帯(2016年11月末現在)が視聴可能となっています。日本のコンテンツはすべて現地の言葉で放送しています。
次に衛星通信事業については、以前から海外に向けてビジネス展開しています。現在17機の衛星フリートを保有しており、北米上空からインド洋上空までを網羅しています。日本で唯一の事業者であり、アジア最大、世界第5位の衛星通信事業者です。アジア太平洋地域では、例えばインドネシアの携帯電話会社やロシアの資源開発会社などに通信回線を提供しています。また、世界最大の衛星通信事業者であるインテルサットとの共同衛星事業のホライゾン衛星事業は北米地域を中心に事業を展開しています。

大里:スケールの大きなお話ですね。今回、アークコミュニケーションズはアニュアルレポートを担当させていただいたわけですが、事業展開のグローバル化の中で、IR戦略をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。

岩瀬様:現在、スカパーJSATの海外の株主様は、20%程度いらっしゃいます。海外の投資家様に対する情報発信はきわめて重要と考えています。中でも、年1回作っているアニュアルレポートはわれわれにとって一番重要なツールとなっています。

佐藤:最初にオリエンテーションを聞いたとき、英語版を印刷物で発行し、日本語版はPDFで対応するというお話だったので一般の企業とは仕様が逆だなと思ったのですが、それだけグローバルの情報提供を重視されているからなんですね。

多くの選択肢を
パートナリングで生み出す

大里:今回、ベンダー選定はコンペ形式で行われました。その際の課題意識やご希望などをお伺いしたいと思います。

岩瀬様:コンペをした背景には、今年度スカパーJSATが5年間の中期経営計画を発表する非常に重要な年だったので、アニュアルレポートを根本から見直すために、いろいろなご提案をいただけるパートナーと制作を進めたいという希望がありました。アークコミュニケーションズさんからは非常に充実した内容のご提案をいただいため、お願いすることになりました。われわれの過去のアニュアルレポートを詳細に分析されていたり、「こうした方がより良くなるんじゃないか」というご提案も様々あったりして、担当者の間でもとても評価が高かったです。

大里:事前にご要望の主旨を把握していましたので、私たちらしいアイデアをご提供するのはもちろん、専門家の立場から品質を高めるために、IR支援や個人投資家向け企業情報ポータルサイトを企画・運営しているオプティアさんにご協力をいただくことにしました。いろいろな選択肢をご提示差し上げた方がプロジェクトとしてうまくいくのかなと思ったからなのですが、結果的にこの選択は間違っていなかったと、現在は胸をなでおろしています(笑)。

岩瀬様:オプティアさんのお仕事はさすが専門家は違うなと感心させられることが多かったです。わからないところや不明点を伺うたびに的確にご助言いただき、私たちも勉強になりました。非常に良いお仕事をしていただき、満足しています。

アニュアルレポート翻訳:
クオリティに「サプライズ」

岩瀬様:専門家は違うな、という観点でもうひとつ。実は今回、ご一緒にお仕事をさせていただいて感じたのは、英訳の素晴らしさです。翻訳という作業は、さほどの違いはないだろうと大きな期待をしていなかったのですが、いい意味で期待を裏切られました。お仕事も丁寧にやっていただけたし、われわれの言葉遣いも考えたうえで訳を作ってくれたので、非常にありがたい――というか"サプライズ"だった部分です。

渡邊様:お願いした翻訳ができあがってくると、言葉の統一性などはもちろんなのですが、ビジネス向けの言葉や投資家様のレベルやクオリティに合った英語の選び方のセンスに気づかされることが多かったです。

大里:ありがとうございます。お褒めいただいたことは私たちが翻訳事業を展開する上で、非常に重視していることなので、とてもうれしいです。
アニュアルレポートの翻訳には2つの要素があります。1つはアカウンティングとして正しく翻訳すること。もう1つは、その会社における "戦略"を伝える部分です。ここは正しいだけでなく、メッセージとしてより魅力的に伝わるよう翻訳する必要があります。同じ翻訳でも、この2つの要素を使い分けながら翻訳することが重要だと思っています。