アビタスが次に考える、グローバル人材
英語を社内公用語とする会社が現れるなど、グローバル人材の重要性はさらに高まっています。17年前に米国公認会計士資格講座を開設し業界をリードしてきたアビタスは、グローバル人材育成のパイオニアといえます。
アークコミュニケーションズ代表・大里真理子がゲストを迎えてお話を伺う対談シリーズ、今回のお客様は株式会社アビタス代表・三輪豊明様です。
ほぼ同時期に独立・起業した大里と三輪様は、旧知の仲。今まであまり語られることのなかったアビタス成功のビハインド・ザ・シーンに、ずばりと迫ります。
アメリカの資格を日本で売ろうとしたきっかけは? 新たに経営に乗り出した日本語学校の目的は? 今後求められるグローバル人材とは?
楽しい話になりそうです。
- プロフィール
- 三輪 豊明様 株式会社アビタス代表取締役 米国公認会計士
東京都出身。東北大学経済学部卒。1988年大和証券入社。89年ユニデン入社。94年退社後、U.S.エデュケーション・ネットワーク(現アビタス)創立。2012年より東京中央日本語学院、学院長を兼任。 - 大里 真理子 株式会社アークコミュニケーションズ代表取締役
自分で会計士になろうと思ったのが起業のきっかけ
大里:グローバル人材の重要性が取り上げられるようになりました。グローバル人材という言葉には、「英語だけではない、さらにプラスアルファの強み」であると、三輪さんは、早くからその点に注目したビジネスを始めました。
三輪様:はい、アビタスの主力は、米国公認会計士(U.S.CPA)資格を取るための講座ですが、これは1995年にスタートしました。語学力+専門知識・専門資格を身につけたいという20代後半から30代半ばの方に支持されてきました。その後、米国弁護士コース、米国MBAプログラムを順次、立ち上げました。日本にいながら、アメリカの資格がとれるという意味では同じコンセプトのサービスです。
大里:それにしても、なぜアメリカの公認会計士資格を取る講座を思いついたのですか?
三輪様:それまで勤めていた会社を辞めたときに、何をしようかな、と悩んでいるうちに、米国公認会計士の資格を取ることを思いついたんです。ところが、いざ調べてみると、日本で受講できるいいコースがない。そこで、これはビジネスになるのではないか、と考えたわけです。
大里:自分で会計士になろうとしたということですか?
三輪様:はい、そうです。実際に資格は取りました。でも、講座開設に乗り出してしまったので、会計士にはなりませんでした(笑)。
日本語学校の経営、アビタスの中国進出への布石
大里:今年から「東京中央日本語学院」という日本語学校の経営を始められました。これはどういう経緯だったのですか?
三輪様:正直言って、アメリカの主要資格はやり尽くしたと感じていました。しかし、経営者として立ち止まるわけにはいきません。そこで今度は、日本のものを海外の人に提供しよう、と考えたのが日本語学校でした。意外かもしれませんが中国や台湾では、日系企業や日本とのビジネスを行える人材に対する需要は非常に高く、英語を話せる人よりも、日本語を話せる人の賃金の方が高いという話も聞きます。数の多い米国留学組より少数派の日本留学組のほうが市場価値が高くなっているように感じています。
大里:生徒さんは中国からの方が多いのですか?
三輪様:現在、31ヶ国から学生を受け入れていますが、6割が中国人です。次に多いのが台湾。中国、台湾での日本語学習者はものすごい人数です。ベースとなる人口が多いですから、とても大きな数字になるんです。欧米の学生もいますが、やはり主体はアジアの国ですね。
大里:ヨーロッパの経済も明るいニュースが少ないですし、アジアがさらにクローズアップされている感じですね。
三輪様:その通りです。一昔前は、アメリカ出張、ヨーロッパ出張が多かったと思いますが、最近はアジアですよね。上海、大連あたりは国内出張ぐらいの感覚でしょう。中国のほかにも、台湾、ベトナム、タイ、シンガポール、フィリピン、どの国も魅力的です。でも、実は日本語学校を始めたのには、もうひとつ大きな理由があります。アビタスが専門としているアメリカの資格講座を中国で売るための準備なのです。中国にこのマーケットが存在することは確信しています。しかし「なぜ日本の会社であるアビタスがアメリカの資格を中国で売るのか、そこに付加価値はあるのか」という根拠が今は乏しい。そこで、アジアの学生を受け入れる日本語学校を開いて、アジアの教育機関とのパイプ作りからスタートしようと考えているのです。
大里:なるほど、これからの展開が楽しみですね。三輪さん自らマーケット開拓に出かけていらっしゃるんですか?
三輪様:もちろんです。今は月の半分以上アジアに行っています。中国の大学や専門学校にも行っていますよ。頻繁に行っているので、現地でのコネクションもかなりできてきました。
大里:本当にフットワークが軽いですよね。中国語もだいぶ上達されたでしょうね?
三輪様:ええ、実は今年に入ってから、かなり身を入れていまして(笑)。ビジネスの話は英語でいいんですが、例えば現地の人たちと食事に行ったときなど、ちょっと中国語を話すと喜んでくれるんですよね。そういったコミュニケーションが信頼関係を築くこともありますし。
大里:実は、アークコミュニケーションズでも海外の学生を対象にしたビジネスを考えているんですよ。今、早稲田大学や立命館大学を筆頭に、日本の大学も英語だけで学位を取れる制度の導入が進んでいるんです。そうなると、もっと海外からの留学生が増える。その学生たちにサービスを提供するという発想です。
三輪様:それは面白いですね。ターゲットはアジア?
大里:はい、やはりアジアでしょう。
三輪様:それは、私たちが開拓しようとしている中国の大学生とターゲットがぴったり重なりますね。
大里:今度、三輪さんの中国出張にご一緒してもいいですか(笑)
三輪様:どうぞ、どうぞ。楽しい旅になりそうですね(笑)
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