2020年1月
社員インタビュー 福田 愛弓
小学校低学年から大学まで海外生活を続けた福田愛弓は、その経歴にもかかわらず見た目も話す言葉も日本で長年暮らしてきた人にしか見えません。しかし入社当初は、お客様のメールにある「五月雨式ですみません」の文言に、「こんなに外は晴れているのに、なぜ?」と不思議に思い、ネットで検索して納得するような毎日でした。耳慣れない言葉はすぐに調べて自分のものにする。そんな努力で、今ではこんなエピソードも笑い話にできる日本語の使い手になりました。上司も「多様な環境で育ったために、相手の考えや気持ちを察することが得意」と高く評価しています。アークコミュニケーションズの多様性を代表するような福田に、入社するまでの経緯や今の仕事のやりがいなどについて聞いてみました。
北欧で難民に向けたデザインを学ぶ
-はじめに、アークに入社するまでの経歴を聞かせてもらえますか?
父親の仕事の関係で、小学2年生くらいからマレーシアに住んでいました。高校卒業までマレーシアにいて、そのあと、カナダの美術大学に進学しました。大学での専攻はプロダクトデザインです。プロダクトデザインと言っても、「建築とファッション以外のほぼすべて」というような、すごく幅広い分野が対象でした。
-具体的にはどのような内容の勉強だったのでしょうか?
大学在学中に、交換留学生というかたちで半年間、ノルウェーに留学しました。そこで「難民の人たちのためのデザイン」という課題をいただきました。実際に難民の人たちが住んでいる施設を訪問し、どのような住環境で、どのような困難があり、何を必要としているのか、などをお聞きしました。そういうインタビューからニーズを掘り起こし、それを形に起こして、最後は自分たちの手でモノを作るという実習でした。
-実際には何を作ったのですか?
バーベキューができるグリル付きのテーブルです。インタビューからわかったのは、難民の人たちが、現地の人とかかわる場所や機会がないという悩みを持っていたことでした。ノルウェーにはもともと、公園などでバーベキューをする文化があり、一方で難民の多くを占めるバングラデシュやシリア出身者の人も、グリルを使ってバーベキューや料理をする文化を持っていました。そうした共通点から、屋外で、難民の人たちと現地の人たちが輪になってバーベキューを楽しめるようなグリル付きの円卓状のテーブルを作ることにしたのです。実際にバーベキューができるレベルのプロトタイプを作り上げ、それをユーザーになる人たちに使ってもらうという、企画・考察から実用までの一連の流れを勉強できました。
アークの多様性と規模に惹かれる
-大学を卒業してアークに入社したのですが、海外の会社ではなく日本の会社に就職しようと思った理由は何ですか?
長く海外生活を送ってきたなかで、日本人としてのアイデンティティを求められることが大変多く、場合によっては「日本人の代表」のように見られることもありました。そういうときに、「自分は"日本の代弁者"みたいになっているけど、それほど日本で生活していないのにこれでいいのだろうか?」と悩みました。そんな気持ちから、まずは日本で働いて、日本人のアイデンティティを再発見しようという気持ちが出てきたのです。
-アークを選んだ理由は何だったのでしょうか?
日本に住んだ経験がほとんど無かったので、日本のことを知るために、外資系より日本企業に勤めたいという気持ちがありました。アークには外国籍の社員も多いから出身国の多様性もあり、もちろん日本の企業でもあるので、わたしの希望にはぴったりの会社だったのです。また、会社の規模としては、アークの大きさならばきっとアットホームな感覚で仕事ができ、いろいろなことに挑戦し、経験したりできるだろうという期待もありました。
-こうして話をしていると、帰国子女であることを忘れてしまいます。昔から日本で生活しているように見えるのですが、意識してそうしているのでしょうか?
今までさまざまな国に住んできたなかで、「いかに現地人っぽく見せるか」「どのようにその国に適応すれば良いか」といろいろ、考えて生活してきました。たぶん、そういった習慣が影響しているのではないかと思っています。特技ではありませんが、旅行先でも現地の人に道を聞かれることが多いんです。自然と周りの人の話し方や歩き方などを観察していて、それが無意識に身に付いてしまうようです。
海外生活の経験を活かして提案
-アークでは、最初からWeb事業部に所属したのですか?
はい、そうです。Webの仕事をやりたいと思ったのは、美術大学で勉強をするなかで、デザイン以外の専門性やテーマを持っていたほうが、今後の自分のキャリアにとって良いと気づいたからです。デザインという考え方は身についていましたが、専門的なスキルが欲しかったこともありました。モノをクリエティブに作ったり、ユーザーリサーチの結果を形にするプロセスが好きだったりしたので、創造性や専門性のある仕事に就きたいと思っていました。最終的なモノに到達するまでに、コミュニケーションやプレゼンテーションをどうすればいいのか考えた時に、Webという表現方法・専門分野に出会ったのです。
-現在の仕事はどのような内容ですか?
おもにWebディレクターのアシスタントです。大規模なWebサイトのリニューアルではアシスタントをやらせていただき、すでにリニューアルしたサイトの運用ディレクションでは、ある程度お仕事を任せてもらえるようになりました。具体的には、国内外のベンダーさんとのやりとりや、お客様への改善案の提示、コーダーやプログラマーとの制作進行管理などです。海外サイトのリサーチを依頼されることもあり、そういう場合には、自分ならではの海外目線や経験を活かして調査を進め、ディレクターに提案するようにしています。
-仕事のやりがいはどんなところで感じますか?
仕事では、いろんな会社のさまざまなお立場の方と出会うことが多く、そうしたお客様とのお付き合いでやりがいを感じることがよくあります。自分がやり取りしていたある案件のお客様がちょうど自分と同じくらいの入社年次だったので、自分の立場に置き換えて考え、CMSの説明やWebサイトの表現を説明したことがあります。そうして納得いただけたものが無事納品できたときには、とてもやりがいを感じました。
多様な人があらゆる環境で働ける日本にしたい
-今、お仕事は楽しくやっていますか?
はい。自分主体で回せる運用案件が増えてきて、楽しくなっています。大きな案件では、タスクマネージメントやタイムマネージメントが難しいのでチャレンジしがいがあります。どんな状況で自分が大変になるのか、自分のリミットを探りながら前に進んでいます。
-今後の仕事上の目標はなんでしょうか?
海外のエンドクライアントのWebサイト制作などを経験してみたいと思っています。また以前、Webサイトの多言語展開にかかわったことがありますが、さまざまな言語や世界中の人たちが見るサイトにかかわるプロジェクトはとても楽しいので、これからもどんどんやっていきたいと思っています。
-仕事以外にもやりたいことはありますか?
いつも、自分の日本に来た経験が誰かの役に立たないかと考えています。例えばわたしは海外生活が長くても日本人だったので、就職活動では日本人の「新卒枠」で進めざるを得ませんでした。このため、日本のシステムを知らないまま海外の大学から就職しようとしたときに、開始時期が日本に住む学生の人たちに比べて1年遅れてしまい、大変苦労をした覚えがあります。そのような苦労をせずに、人種にかかわらずいろいろな状況にいる人がどんな環境でも働ける、アクセスしやすく住みやすい日本の環境をつくっていくことに貢献できたらいいなと思っています。
プロフィール
福田 愛弓
2018年にアークコミュニケーションズ入社。昨年(2018年)からアコースティックギターを習い始める。日本のちょっと昔の歌謡曲が好きで、ギターを弾きながら歌うことが夢。今は久保田早紀の『異邦人』を弾けるように特訓中。
私の1本の映画
スタジオジブリ制作のアニメ『耳をすませば』(1995年, 日本)
子供のころ、日本で暮らしていなかったので、ジブリの映画を見て「日本で学生生活をしていたらこんな感じなのかな」と思いながら見ました。映画の主人公とお姉さんの関係が自分と自分の姉の関係とそっくりだったので面白く感じました。何気ない日常の風景を描くのがジブリはとても上手だと思っています。
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【2020年1月】社員インタビュー 福田 愛弓