社員インタビュー

2019年7月

社員インタビュー 山本 康之

怪獣のフィギュアを手に入れるために、大枚をはたくことも辞さない。休みの日には、"本物の"日本刀を買うために骨董商を巡り歩く。熱伝導率の高い鍛造物の鍋を4年待ちで入手する。......そんな、とにかく凝り性の山本康之。一方、10年越しでヤクルトレディを毎日出迎え、社長が放置し続けた茶渋でまっ茶色の湯呑を黙って漂白する優しさも備えています。「担当間に落ちた仕事を率先して拾う」「放置したら大事になりそうな問題を早期に察知して対応する」一見冗談ばかり言っているように見えて、上司・部下からそうした評価を受けるムードメーカーに、過去の経歴や仕事の流儀、将来の夢などを聞きました。

-アークに来る前の仕事のバックボーンなどを教えてもらえますか?

大学を卒業したのち、農業機械の専門メーカーで働きました。入社してすぐに、できたばかりの原価管理部という部署に配属されました。当時は、オイルショックで製造業が苦境に立たされ、各メーカーの原価に対する考え方が大幅に見直された時期でした。原価から積み上げ方式で製品の価格を決めるのではなく、製品の市場価値から原価を決めるという、それまでとは180度変わった考え方への転換です。

配属前の研修では、工場の各現場に入って実際に製造のお手伝いをしたことで、身をもって製造業の実態を知ることができました。配属された原価管理部で最初に担当したのは、すでにブランドが確立している田植え機。この製品に新しい原価管理手法のメスを入れることになり、結果として、共通化できる部品を洗い出して部品点数を半減させたり、高価な仕様の部品を見直したりすることで、設計段階から原価を大幅に低減しました。

お客様の立場を理解し、幅広いソリューションを提示

-アークに入社されて、現在はどのようなお仕事にかかわられているのですか?

現在は翻訳と通訳の営業を担当しています。お客様からのお問い合わせに対応することがメインの仕事です。

-お仕事の中で何か印象に残ったエピソードはありますか?

あるお客様から、社員の満足度調査のお仕事をいただきました。海外ブランチの従業員も対象にした、自社に対する業務上の満足度を調べるアンケートの集計です。お客様からいただいたアンケート結果はすべて手書きで、しかも世界中から集めた回答だったので、書かれた言語もさまざまです。全部で数千人分はあったと思います。それらすべてを日本語に翻訳し、データ入力し、なおかつ個人情報が含まれているので厳重に保管するという非常に手間のかかる仕事でした。しかし、その時の対応が評価され、そのお客様からは今でも引き続きお仕事を頂戴しています。

-個人情報と言えば、山本さんは10年くらい前に取り引きしたお客様の名前をすべて覚えていると上司の方からお聞きしましたが。

いや、さすがにすべてとまでは......。でも、聞かれれば、お答えできるケースは多いかもしれません。お客様が気軽に相談しやすいよう、できるだけすぐに打ち解けていただける努力をしています。過去に他社で比較的大きなプロジェクトにかかわり、製造現場のこともよく知っているので、お客様が解決したいと思っている課題が理解でき、それに対して幅広いソリューションをご提案できるとは思っています。例えば、先ほどのアンケート集計のような、翻訳以外の部分でもご評価いただけることもあります。

仕事の記録はのちに必ず役立つ

-仕事に対するこだわりのようなものはありますでしょうか?

「今日来た仕事は今日中に終わらせる」という気持ちは常に持ち続けています。明日には明日の仕事がありますから、今日の仕事を明日に残すと、明日の仕事ができなくなってしまいます。さらに、今日する仕事は今日だけのためではなく、明日のためになる仕事をしようと思っています。また、仕事は必ず記録にして残すようにしています。そうすれば、蓄積した情報が10年後、20年後に、それを活かせる能力を持った人の強い武器になる可能性がありますから。

-実際にそのような記録が役に立ったことはありましたか?

例えば、わたしが突然、病気などで休まなければならなかった時に役立っています。当然、逆のケースもあり得ますよね。スタッフの誰かが突然休んだ時にも、普段から必ずフォローするようにしているのですが、そうした記録を残しておいてくれれば、すぐに対応できます。お互いにフォローができるように記録は残しておくべきだと思っています。いい意味での"おせっかい"や"面倒見の良さ"は、会社に必要なものなのじゃないでしょうか。

-「最後は必ず山本さんが拾ってくれる」という安心感は、社員にとって大きいですね。同僚や後輩に対しても、きめ細かくアシストしたり、育成されたりしていると聞きました。

部下や同僚から相談されたら、できる限り丁寧に答えるようにしています。また、困っている人を見ると率先して対処します。最近は、本人が育つためには転ばぬ先の杖をし過ぎるのもよくないと思い、できるだけヒントを出すにとどめるようにもしています。

日本発信コンテンツの海外展開に翻訳が活躍

-チャレンジしてみたいお仕事はありますでしょうか?

今後、東京オリンピックの開催などに伴って、日本の文化や企業が見直され、海外にアピールしていこうとなった時に、翻訳や通訳が大事になってきます。そのようなかかわりのあるお客様と今からお付き合いができると、今後もお仕事が増えていくのではないかと思っています。例えば、日本発信の特撮物やヒーロー物を使って新しいコンテンツを作ろうとする動きがありますが、そうしたコンテンツの海外展開に翻訳の力が必要になります。

また、社内では、若手をこれからも育成していきたいと思っています。社内におけるわたしの夢は「早く窓際族になりたい」ということです(笑)。つまり、早く若手に育っていってほしいということなんです。そのために、自分たちがやってきたことを引き継げるように記録を残しています。これは、自分の仕事やスキルを引き継ぐ人たちを育てるための一種の「未来への投資」ですね。

プロフィール

山本 康之
アークコミュニケーションズ創業時から在籍。趣味は広範にわたり、怪獣のフィギュアや日本刀、調理器具、日本手拭の収集など。さらにスポーツ万能で、スキー、スノーボード、スキューバダイビング、パラグライダー、ジェットスキー、トランポリン、フットサル......と過去に手を染めてきたスポーツに枚挙のいとまがない。

私の1本の映画

フィリップ・K・ディック原作、リドリー・スコット監督、ハリソン・フォード主演の『ブレードランナー』(Blade Runner, 1982年, アメリカ)
その昔、「二番館」と呼ばれていた封切り後1年以内の映画を入れ替えなしで上映する映画館に、1日じゅうこもって延々と観ていました。汚れた未来の乗り物や、酸性雨でボロボロのロサンゼルスが登場するなど、それまでのSFの常識を変えた映画だと思います。