社員インタビュー

2018年7月

社員インタビュー イライザ リム(Eliza Lim)

シンガポールの有名ホテルでコーディネーターの仕事をこなし、日系企業で日本人に交じって人事管理の業務に就き、さらにイギリスの大学院で日英翻訳を学んだというグローバルな経歴を持つイライザ。母国語である英語と、中華系をルーツにするがゆえの中国語、そして日本語という3カ国語を駆使して、アークコミュニケーションズで翻訳プロジェクトマネージャーとして活躍しています。グローバルで多様な経験を持つ彼女に、アークに入社するまでの経緯や翻訳ポリシーなどについて聞きました。


翻訳への関心絶ち難く、会社を辞めて進学

-アークに来るまでのバックボーンについて教えてください。

シンガポールでは大学に入学する前に1年間、世界的にも有名なラッフルズ・ホテルでコーディネーターの仕事に就きました。その後、オーストラリアの大学のシンガポールブランチに入学し、経営管理の中でも人事管理を専攻していました。今アークでやっている仕事とはまったく違う内容ですね(笑)。卒業後は、日系企業の人事部門で約4年間、日本人に交じって働きました。しかし、翻訳への関心を捨て難く、結局、仕事を辞めてイギリスの大学院に進学することにしました。

-なぜ翻訳に興味を持ったのですか?

他国の言語から母国語にどうやって正確に翻訳するかということにすごく興味があったからです。また、言語の美しさにもこだわりがあります。シンガポールでは割とそういうことを気にしない人が多いんですよ。シンガポール人は多民族国家なので、基本的にバイリンガルなんです。共通言語となる英語以外に、インド系や中華系などバックグラウンドに基づいた言語が話せるのが当たり前。わたしは中華系なので、第2言語として中国語を勉強しました。一方、日常会話では、"シングリッシュ(Singaporean English)"と呼ばれる独自の言語(強い訛りのある英語)が使われています。ただ、この言語の文法が矛盾だらけで、英語好きなわたしとしては、話すたびに困惑を感じていました(笑)。

-大学院で翻訳の対象言語に日本語を選んだ理由を教えてもらえますか?

日本語に決めた時、周りの人から「中国語ができるのに、なんで日本語にしたの?」と何度も聞かれました。理由は、自分にとっての第3言語から母国語への翻訳にチャレンジしたいと考えたことです。初めて日本語の勉強をしたのは17歳の時でした。4年半くらい語学学校に通っていましたが、レベルアップしたら学校を辞めて自分で勉強をしようと思っていました。そんな時期に日系企業に入社して、日本語が大幅に上達したという経緯もあります。

翻訳のバックグラウンド業務にも興味

-アークに入ったキッカケを教えてもらえますか?

2017年1月にアークに入社しました。今年で2年目ですね。その前年の2016年5月頃、大学院の生活があと3~4ヶ月で終わろうというところで仕事を探していました。日本の外国人向けサイトに登録し、アークの求人を見つけたのがキッカケです。

-どのような募集内容で、アークのどこに惹かれたのでしょうか?

求人には「翻訳プロジェクトマネージャー募集」とあり、その具体的な内容を見て興味を持ちました。本当は翻訳者になりたくて大学院に進学したのですけど、翻訳のバックヤード業務にも興味があり、さらに大学院の先輩でプロジェクトマネージャーの方も多かったので、やってみようと思いました。アークのホームページにアクセスしてミッションステートメントなどを読んで、「真面目で熱心で、お客さまのことをしっかり考えている会社なので、ここならちゃんと働けそうだ」と思い応募しました。

お客さまの不安を解消する翻訳

-アークに入ってからどのようなお仕事をされましたか?

現在は、翻訳チームでプロジェクトマネージャーを担当しています。おもな仕事は、お客さまの翻訳にふさわしい翻訳者をアサインすることです。ただ、それだけで済む仕事ではなく、例えば大きな案件の場合、複数の翻訳者によって翻訳を進める必要がある時に、それぞれの翻訳者によって用語の使い方を統一できるように用語集を作ったりもします。
また、お客さまにご安心いただいたり、確認作業の手間を減らしたりするために、できるだけ翻訳文にコメントを残すようにしています。具体的には、「お客さまはこの箇所についてきっと疑問に思うだろう」とか、「この翻訳は説明があったほうが親切だろう」などと先回りして考え、そこにコメントを残してご理解いただくようにしています。

-仕事をする上で気を付けているところは何ですか?

大きな案件の場合だと、準備作業に時間をかけています。例えば、スケジュールを組んだり、翻訳支援ツール上でファイルを解析したり、ファイルの内容を見て自分でも調査したりしています。これらは、翻訳者の作業をしやすくすることで品質を向上するのに必要な作業です。また、翻訳者に「わたしはこう思っているんですけど、あなたはどう思いますか?」とか、「こちらの翻訳の方が英語がより自然になりませんか?」などと指摘して、翻訳者と一緒に考えるようにしています。

-以前の経験がアークの仕事の役に立ったことはありますか?

シンガポールで大学卒業後に入社した日系企業の仕事が、今とても役に立っています。当時の環境は周りが日本人ばかりで、さらに人事という人の特性を活かす仕事。ここで、日本人の仕事に対する考え方や習慣を体験できたことは、今の翻訳プロジェクトマネージャーの業務にとても役立っています。

大学院で身に着けた知識を翻訳者と共有したい

-これから、どのようなお仕事をしていきたいですか?

大学院で身に着けた知識をアークの翻訳者と共有したいと思っています。例えば、「こういう場合だと簡潔な英語がいい」などといったアドバイスですね。また、ソースの言語に引っ張られてしまった結果、「この言語だとそういう風に訳さないだろう」という文章がしばしばありますが、そんな時に翻訳者に「こういう表現がいいんじゃないですか?」などとアドバイスできるといいですね。あとは、大学院で勉強してきた翻訳ストラテジーとして、例えば「この文だと、こういう角度から翻訳した方がいい」とか、「このターゲット言語だと、こういう情報は不要だから削除してよい」といったようなアドバイスも。

-プロジェクトマネージャー以外でやってみたい仕事はありますか?

将来的には翻訳者になりたいと思っています。今やっている仕事で得た翻訳や制作の知識を翻訳者の仕事に活かせたらいいなと思います。10年先の話になるかもしれませんが(笑)。

プロフィール

イライザ リム(Eliza Lim)
1988年生まれ。シンガポール出身。大学入学前にラッフルズ・ホテルでコーディネーターに従事。その後、RMIT大学のシンガポールブランチに入学し、卒業後、Panasonic Asia Pacific Pte., Ltd.に入社し人事部門に配属。翻訳の勉強をするために退職し、イギリスのポーツマス大学大学院に進学。2017年にアーク入社。アイドルのライブ観覧や読書(ファンタジー小説)、カラオケなど趣味は広い。最近、コピーライティングに興味を持つようになり、独学で知識を増やしている。

私の1本の映画

マーベル・スタジオが制作したスーパーヒーローの「マイティ・ソー」シリーズ第3弾『マイティー・ソー バトルロイヤル』(Thor: Ragnarok, 2017年, アメリカ)
マーベル・コミックの実写版映画における世界観の一環となる作品で、最新作の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』につながる重要な作品。ほかのマーベル作品と違ってすごくクレバーなユーモアがたくさん盛り込まれているところが楽しくて好きです。