第三回: 勢いを増す英語
シリコンバレー(続き)
ITとは関係のない日常会話の中で この様なシリコンバレーのハイテクスラングが使われる様になると、英語という言語におけるこの新表現はさらなる広まりや定着が進む事になります。
新しい言い方 ※ 以下、例としてこの順で文を並べます。
(普通の表現 / 和訳)
He's an integrated kind of guy.
(He's got his act together. / 彼はしっかりしている。)
He doesn't have both drives on line.
(He isn't very coordinated. / 彼は自己管理が足りていない。)
He's a read-only memory.
(He never learns anything. / 新しいことを覚えてくれない。)
I'm interrupt-driven.
(My life is frantic, disorganized. / 私の人生は周りに流され制御不能です。)
He had a head-crash.
(He snorted too much cocaine. / 彼は薬をやり過ぎて壊れかけている。)
He's in beta-test stage.
(He's "wet behind the ears". / 彼はまだ未熟だ。)
また英語圏を席巻した IT 表現は他の言語にも浸透していきます。
フランス語
les applications batch (アプリケーションバッチ)
digitaliser (デジタル化する)
semi-conducteur (半導体)
ドイツ語
repeat funktion (リピート機能)
der Highbyte (上位バイト)
Resetknopf (リセットボタン)
der High-Speed-Prozessor-Bus (高速バスプロセッサ)
イタリア語
bufferizare (バッファする)
shiftare (シフトを押す)
hardwarista (ハードウェアデザイナー)
debuggare (デバッグする)
randomizzazione (ランダムアクセス)
こうしたシリコンバレーの話を聞くと、アメリカ英語がいかに苦もなく浸透していくかが垣間見えます。そして今では英語はその母国イギリスやアメリカというコンテキストを離れ、また国という枠組みをも超えて世界各地で共通語として使われるようになりました。大部分の人が第二言語として選択しており、その目的も様々です。日本の会社員がベトナムで仕事をするとき、ロシアの科学者がベルリンで研究活動を行うとき、アラブ人の医師がアムステルダムで医療活動を行うとき、タイ人のパイロットが北京の空港に降り立つとき、等々、違う国の出身者たちが出会うと、まずは英語で話しかけます。
英語はこの世界の果てを超えても通じるのでしょうか。
1973年に打ち上げられたボイジャー1号にはゴールデンレコードが積まれており、国連事務総長(クルト・ヴァルトハイム / Kurt Waldheim)による英語での挨拶が記録され、宇宙人!に向けても英語で情報発信されました。
As the Secretary-General of the United Nations, an organization
of a hundred and forty-seven member states who represent almost all
of the human inhabitants of the planet Earth, I send greetings
on behalf of the people of our planet
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惑星地球に住むほぼすべての人類を代表する147の国が組織する国際連合を代表し、
事務総長である私からこの惑星に住む人々を代表してご挨拶させていただきます。
担当:翻訳事業部 伊藤
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