「行動するスポーツシンクタンク」を標榜する笹川スポーツ財団にスポーツ普及・振興の「プロの流儀」を聞く
ブランディングの方向性に関する提案に共鳴
大里:アークコミュニケーションズには、どういうところに期待してお声をかけていただいたのでしょうか?
清水様:アークさんの制作事例を見たときに、ウェブサイトの整理の仕方がうちの課題を解決してくれそうと期待したからです。また、わたしたちと業態が似ている組織の案件を多く手掛けていたところも、親和性があるのではないかと思いました。最初のプレゼンからフィーリングが合うと感じ、わたしたちのブランディングにかかわる提案をしてくださったのは御社だけでした。
佐藤:最初に笹川スポーツ財団さんのサイトを見たときに、ブランディングの方向性が本来、財団さんの出したいものと違っているような気がしたのです。そういうところに対する提案が一番刺さったのですね。期待に対する成果はどうでしたか?
清水様:こちらの要望が相当細かかったにもかかわらず、かなり丁寧で柔軟に対応していただいた印象があります。
渡邉様:わたし自身のウェブサイトにおける個人的な柱は、「より見やすく」「より使いやすく」「より魅力的に」なんです。アークさんのおかげで、表面的な見やすさはずいぶん改善されたし、検索エンジンやページ間のつながりという面で使いやすさもだいぶ改善されました。しかし一方で、「魅力的な」という部分は、コンテンツそのものとその見せ方にかかわる部分なので、ここはこれからも続けて改善していきたいところです。
柴田:先ほどのご説明時に、今回わたしたちが制作したウェブサイトの画面を効果的に使っていただいていたので、とても感心するとともに嬉しく思いました。最近は、このようなプレゼンテーションにこの新しいページを使われているのでしょうか?
成瀬様:理事会や評議員会などでは、主にウェブサイトを使って財団の活動内容などを説明しています。今後はウェブサイトの質・量をさらに充実させ、「スポーツ情報タンク」として、国内外、様々な分野の方々に活用いただけるよう、制作と発信に努めていきたいと思っています。
佐藤:このように使っていただくと、課題も見えてきますね。たとえば、「これだけの長い歴史をもっとコンパクトにまとめたコンテンツがあるとさらに説明が楽になる」など、ユーザー視点で見ることができて助かりました。現在も続けていただいている笹川スポーツ財団さんと弊社のミーティングという場もありますので、これを有効に活用することで、今後も改善を進めていきたいと思います。
成瀬様:ウェブサイトのリニューアルは5年ぶりとなります。佐藤さんがおっしゃられたようにシンクタンクというものをどのように表現していくのか、特に私たちは「実践」を伴うシンクタンクですので、組織の「ブランディング」については難しいテーマだと感じています。今回、短い期間ではありましたが、リニューアルの作業を通じてアークさんからはいろいろとお知恵やご助言をいただきましたお陰で、さらなる情報発信のフレーム づくり(発信すべき情報の整理)ができました。今後は様々な分野の方々のお知恵やネットワークを活用させていただきながら、ウェブサイトの充実と国内外に向けた広報力を強化し、財団のプレゼンスを高めつつ、スポーツを通じた社会貢献に微力ながら努めていきたい と思っています。
佐藤:ありがとうございます。ぜひ今後ともよろしくお願いします。
ネットワークオブエクセレンスをさらに拡充へ
大里:笹川スポーツ財団さんの今後についてのお話も少しうかがえますか?
渡邉様:これからは国内外のネットワークをさらに充実させていこうと思っています。国内外のパートナーの数をこれからどんどん増やしながら、一緒に事業を拡大していきます。
国内では、2019年に宮城県の角田市と京都府の福知山市それぞれと連携協定を結びました。実践的なプログラムを作りながら、"スポーツによるまちづくり"を現在も進めています。また、これらの連携から得られた知見を横展開できないかと考えています。
国際的な話では、TAFISA(The Association For International Sport for All)という国際スポーツ組織やそこに加盟する組織と覚書などを交わして、ゆくゆくは共同研究、人的交流、共同事業を展開しようと考えています。
佐藤:角田市、福知山市との連携は具体的にどのような内容ですか?
渡邉様:3年前にスポーツ白書を発行したときに、そこにスポーツを基軸としたまちづくりに関する政策提言を載せました。地域に多く存在するスポーツ組織をネットワーク化し、地域課題をみなで共有・協議して、市民の健康増進を含めたスポーツ環境の向上を目指すというものです。これに角田市が共鳴してくれ、まだ黎明期ですが、かたちができあがりつつあります。
佐藤:1つの市の中でも組織の担当が違うと周辺とのつながりが無くなってしまうので、そこに笹川スポーツ財団さんが入ることで、新たなネットワークをつくる流れを築いていらっしゃるということですね。
渡邉様:はい、そうです。小さな行政機関でも組織間には壁があります。そこにうちのような"よそ者"が入っていって横串を刺すという役割です。福知山市は角田市とは内容が異なりますが、基本的には同じ"スポーツによるまちづくり"というコンセプトで活動しています。下からの積み上げも大切なのですが、たいていの場合、それだけではプロジェクトが途中で止まってしまいます。そこで、トップダウンの指示を入れることで、円滑な流れをつくろうという考え方に基づいています。
大里:スポーツシンクタンク、ドゥタンクとしての笹川スポーツ財団さんの役割がよくわかりました。スポーツの魅力を語る団体は多くありますが、プロフェッショナルとしてスポーツの普及や振興に貢献されている笹川スポーツ財団さんの魅力を、今後どう世の中に伝えていくかというお手伝いを、ぜひこれからも続けさせていただきたいと思います。
本日は、興味深いお話をいろいろといただき、ありがとうございました。
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