世界をリードするデジタルインフラ企業のエクイニクスに聞く
エクイニクス・ジャパン株式会社は、デジタルインフラ企業の日本支社です。お客様数は1万社を超え、79四半期連続増収と20年にもわたり持続的に成長し続けている大企業です。AWS(アマゾンウェブサービス)やMicrosoftのAzure、Google Cloudなど世界を代表するクラウドサービスやプロバイダーのほとんどがエクイニクスのデジタルインフラ上にあります。これは、世界で最も安全かつハイパフォーマンスにお客様同士のインターネットサービスを接続できる、革新的な環境を提供しているからです。さらに、業界でのグローバルリーダーとして、サステナビリティにも力を入れ、サステナビリティ投資や社員によるボランティア活動も盛んに進めています。
エクイニクス・ジャパンでプロダクトマーケティングを担当している荒井様に、グローバルで最先端の技術を展開する同社のさまざまな取り組みについてお聞きしました。
- プロフィール
- 荒井 聖道 エクイニクス・ジャパン株式会社 プロダクトマーケティング マネージャー
- 大里 真理子 株式会社アークコミュニケーションズ 代表取締役
- 馬場 浩昭 株式会社アークコミュニケーションズ 翻訳事業部長
- 伊藤 瑞恵 株式会社アークコミュニケーションズ 翻訳担当プロジェクトマネージャー
- 小川 雅史 株式会社アークコミュニケーションズ 翻訳事業部営業
常識を覆すデータセンター事業
大里:はじめに、エクイニクス・ジャパンについて簡単にご説明いただけますか?
荒井様:エクイニクスは、アマゾンやマイクロソフト、Googleなど世界の名だたるデジタル企業のほとんどが利用するデジタルインフラを提供している会社です。米雑誌の『Fortune』が選ぶ全米上位500社の「Fortune 500」や世界上位2000社の「Global 2000」それぞれ半数以上、および1/3以上のお客様がエクイニクスを選択しています。
エクイニクスは、競合するネットワークと「インターネットエクスチェンジ(IX)」が接続し、データトラフィックを共有できる中立的な場所として、1998年に設立されたのが始まりです。2002年には、日本にも進出しました。IXは一般の方にはあまりなじみのない言葉かもしれません。インターネットサービスプロバイダーやデータセンターなど外部と大量なデータをやりとりする事業者のネットワークを相互接続する施設で、インターネットを安全に高速で大量に使うためになくてはならないサービスです。創業当時、海外でインターネットが爆発的に拡大するなか、データや通信経路を恣意的に変更されてしまう問題が指摘されており、それを防ぐために「中立で独立したIXを提供するデータセンター」が必要という声があがりました。それに応えたのがエクイニクスです。このため、社名(EQUINIX)は「イコーリティ(Equality):平等」、「ニュートラリティ(Neutrality):中立」、「インターネットエクスチェンジ(Internet eXchange)」の組み合わせでつけられています。
大里:以前、お話をうかがったときに、日本企業のデータセンターはセキュリティ上、できるだけ場所を隠すのに対し、御社はそこをオープンにしていると聞いて、とても興味深く感じました。なぜ、御社はデータセンターを地方に置かず大都市に置くのでしょうか?
荒井様:回線の距離によって発生する光通信の遅延が、技術の進歩で問題になってきているため、より高速を目指す接続とレスポンス性の改善のために、地方にデータセンターを置かずにお客様と物理的な距離が近い大都市に置いています。データセンターの場所を隠すのは、物理的な襲撃のリスクを考えてのことでしょうが、エクイニクスは、複数のデータセンターを有機的に結合させることで、万が一の故障時の回復力(レジリエンシー)を確保しています。このような対策を練れば、場所をオープンにすることで得られるメリット――例えば、地域住民から得られる信頼やサポート――のほうが大きいと考えています。
馬場:データセンターを実際に利用開始できるまでのリードタイム短縮のために、きめ細かい工夫もなさっているそうですね。
荒井様:はい、そうです。エクイニクスでは、たとえば複雑な契約書にサインをする必要はなく、ポータル経由で必要項目を入力すれば簡単に発注でき、設定も十数分で終わるので、お客様の手間が軽減できます。しかし、多くのネットワークを管理する方にとっては、それでも負荷がかかるということで、設定のための一連のプロセスをコード化(IaC:Infrastructure as Code)できるようにしてあります。IaCなら1分もかからずに設定でき、かつログも同時に残るので、すごく便利です。
馬場:お客様同士のコラボレーションにも力を入れているとお聞きしました。
荒井様:はい。エクイニクスはお客様同士をつなげ、お客様のビジネスがエクイニクスのプラットフォーム上でビジネスを最大化できるよう促しています。つまり、お客様を相互に連携・共存・繁栄する一つのビジネス環境を構築するエコシステムの一員と考え、お客様の間をつなげる「Equinix Marketplace」を提供しています。単にエクイニクスが保有しているソリューションの販売の場とするのではなく、エクイニクスを利用している企業が互いに簡単に取り引きできる環境を提供しているのです。
海外展開を容易にするサービス
馬場:日本企業が海外プロジェクトを展開する際には、革新的なエクイニクスのサービスを利用すると大きなメリットがあると聞きました。
荒井様:わたしがこの会社が革新的だと思うのは、常に業界初をやるからです。データセンターの場所を世界各国に広げていくにもかかわらず、データセンターがなくても良いサービスを作っていくようなところです。例えば、ドイツで大規模な展示会を開きたいので、一時的でいいから早急にデジタルインフラサービスを必要とするときがありますよね。エクイニクスの「Network Edge」や「Equinix Metal®」というサービスならば、データセンターの契約は不要ですが、あたかもデータセンターが存在するようにIT機器を設置・構築できます。ソフトウエアが入っていないコンピューターや通信機器などをわずか10分程度で設定でき、利用を開始できます。また利用時間をデジタルインフラストラクチャサービスでは1時間や1日単位で決めることもできます。
馬場:企業がグローバルに展開するときのスピードが非常に早く、利便性も高いんですね。
荒井様:はい。エクイニクスのお客様は、グローバル展開をされているお客様が非常に多く、海外を含めてエクイニクスと一緒に多くの都市に展開するお客様は89%以上*1です。エクイニクスのサービスは非常に便利で、本社に1人担当者がいれば、エクイニクスの世界中のデータセンターやサービスをすべて扱えます。
*1:2022年第3四半期の経常収益から算出
アジア市場への展開を期待
大里:プロダクトマーケティングのお立場から感じられている課題意識は何かありますでしょうか?
荒井様:もう少しアジアに進出しなくてはいけないという認識はあります。このあいだ、インドネシアやマレーシアへのデータセンター初進出について発表することができました。アジアには、成長率が著しく高い国や都市圏がまだあり、これから投資していく余地は大きいと感じています。日本では、東京で15番目のデータセンターを先日発表させていただきました。
大里:外資系の会社だと、全グループ会社において最善の事例(ベストプラクティス)をグローバルに展開するマーケティングが主体のイメージがありますが、御社の翻訳はどうされているのでしょうか?
荒井様:当時ベストだったものが、半年後にはベストでなくなっているかもしれないので、戦略は常に変化しています。また、フォーマットだけでなく、マーケティングコンテンツ全体が変わるので、その都度、翻訳し直す必要があり、大変な労力を要します。例えば、30万字程度の業務マニュアルを日常的にコツコツと作っていても、それが簡単に新しいものに置き換わってしまうことがあります。社内のWebポータルも同様です。
伊藤:そうまでして新しく変化したい本社の意図は何なのでしょうか?
荒井様:やはり、お客様がわかりやすく、そして便利になるからでしょうね。たとえばWebサイトを見ると、5年前には多言語対応はほとんど考えられていませんでした。設定してあったのは英語と、スペイン語、日本語などの主要言語のみでした。その後、ブラジルの会社を買収したため、ポルトガル語を追加し、さらにローカライズする必要がありました。現在では、約30の外国語サイトがあり、プラットフォームを切り替えてまで対応しています。
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