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カメラ付きケータイ、スマートフォンの普及、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームの定着により、動画は身近なものとなりました。ビジネスにおいても、サービス紹介、会社案内、採用、Webサイトのメインビジュアルなどで動画の活用が増えており、アークコミュニケーションズでも様々なお客様から動画制作のご依頼をいただいています。
Web & クロスメディア事業部の事業部長・佐藤は、かつて、テレビ朝日グループで番組や動画の制作ディレクター、プロデューサーを経験しています。今回は、その当時の同僚でもあり、現在はアークコミュニケーションズの重要な制作パートナーでもあるテレビ朝日グループ東京サウンド・プロダクション(以下、TSP)の高橋様、山本様をお迎えして、動画制作について様々なお話に花を咲かせます。
左より大里、山本涼花様、高橋俊治様、佐藤、遠山
大里:最初にTSPについて教えてもらえますか。
高橋様:TSPはテレビ朝日のグループ会社です。テレビ局って、自分たちだけで1つの番組を作れるわけではなく、映像制作のプロデュースやディレクション、制作進行、撮影や映像・音声の編集など、制作に関わる多くの作業を関連会社や外部会社に依頼して作っています。テレビ朝日グループの仕事にも色々ありますが、TSPは特に番組制作など映像の制作業務全般に関わっている会社です。
遠山:TSPの正式社名が"東京サウンド・プロダクション"なのを知ってちょっと驚きました。
高橋様:映像業界以外の方にはよく言われますね、私たちも通常"TSP"といっていますから(笑)。TSPは、もともと映像の音響効果分野(音効)に特化した専門の会社として
1963年に設立されまして、その後、映像制作のあらゆる分野に業務を拡大しました。
専門分野の"音効"については、ほぼ70%以上がテレビ朝日の仕事です。"音効"とは簡単に説明すると、映像に編集段階でBGM・効果音を加えたり、生放送で効果音や音楽流したりする仕事で、全社員400人のうち70人ぐらいがこの音効に関わるスタッフです。
大里:高橋さんたちの部署ではどういったお仕事をされているんですか。
高橋様:映像制作のディレクションやプロデュースです。テレビ朝日以外にも、NHKのドキュメンタリー番組など他局の番組や、ABEMAからの依頼も非常に増えています。最近の傾向としては、プロレス・格闘技・大相撲や将棋など、中継ものが多いですね。山本や僕は、企業や大型テーマパークのPR映像など、番組以外の作品にも数多く関わっています。
佐藤:高橋さんたちと協力して動画を制作するきっかけは、高橋さんが映像制作時代の私の先輩だったからです。私はアシスタントディレクター、ディレクター、プロデューサーを経験したのですが、当時高橋さんはディレクターではなく、映像編集の仕事をされていて、一部では「テレビ朝日の編集のエース」などと言われていました(笑)。先輩ディレクターに初めて高橋さんを紹介されたときに、「素材がないときに困ったら高橋さんに頼めばいい」と言われたのを今も覚えています。新米の私はあまり高橋さんと仕事をした経験はないのですが、今と違ってアナログだった時代に、「あっという間に映像を作り出す人」という印象が強く残っています。私が退職してからディレクターに転身されたんですよね。
高橋様:そうですね。いずれはディレクターやプロデューサーの仕事をしたいと思っていたので、いいタイミングがきて転身しました。デジタル化の波とともにディレクターも業務範囲が広がり、編集スキルが重要という時代が来ましたので、編集マンとして培った経験が今の仕事にとても役に立っています。ずっと一緒に仕事をしている山本はそういう時代になってからの入社組ですので、最初に覚えることが多くて大変だったと思います。
大里:TSPの強みについて教えてもらえますか。
山本様:映像制作会社としてさまざまな部署を持っているので、映像制作のあらゆるシーンに対応できるというところでしょうか。音楽や音響効果はもちろん、撮影部もありますし、デジタル・イメージング・テクニシャンという映像の色を決める人もいます。高画質・高解像度専用の編集室も保有しています。「映像を制作できる」だけではなく、「高品質な映像に対応できる」のがTSPの強みだと思います。
高橋様:技術と演出・制作のすべての要素を持つ制作会社はあまり多くはありません。編集室は20室、映像に音楽やナレーションをつけるMA室は9室あるなど機材や設備も充実していますので、TSPは映像制作のすべてにワンストップで対応できる「映像総合プロダクション」だと言えると思います。
山本様:高橋や私の強みとしてはもう1つあります。複数の映像編集ソフトウェアに柔軟に対応できるところです。現代の映像編集は、ほとんどが"ノンリニア"と呼ばれるデータを中心にした編集作業となっています。そこでメジャーになったソフトがAdobeのPremier Proです。実はそれ以外にも、同じAdobeが出しているAfter EffectsやBlackmagic DesignのDaVinci Resolveというソフトがあるのですが、それらを扱える映像ディレクターは多くありません。TSPでは、Premier Proを扱えるのは当然として、私たちはそれに加えてAfter EffectsやDaVinci Resolveを扱うことができます。それぞれのソフトウェアに特徴があり、やりたいことに合わせて最適なソフトウェアを選択できるので、多様なオーダーに柔軟に応えられるのもTSPの強みと言えるかと思います。
佐藤:山本さんは、この業界にどのような想いを持って入ってきたのですか?
山本様:もともと、明確に「映像をやりたい」と思っていたわけではなく、絵を描いたり何かを作ったりすることが好きだったので、何かを作ることを仕事にしたいと漠然と思っていました。
最初、学生アルバイトとして入ったのですが、そのときから高橋さんの部下になり、ゼロから映像制作について教わりました。当時、Macも触ったことがなかったし、映像編集ももちろんやったことがなくて、せいぜいPhotoshopやIllustratorを少しだけ触ったことがあるくらいでしたので、「高橋さんについていくしかない」みたいな気持ちで頑張っているうちに、気がついたら入社したような感じです(笑)。
佐藤:ディレクターの仕事は制作全般に関わる仕事で、その点、Webディレクターと共通すると思いますが、Webにはない、アウトドアでの撮影など体力勝負の部分もあるお仕事ですから、ハードなことも多いのではないですか。
山本様:ものを作る仕事は、何を作るにしても大きな苦労が伴うだろうと覚悟はしていたのでそのあたりは想定内でした(笑)。アルバイトからスタートできたので、じっくり客観的に仕事内容を見て入社を決められたのも大きかったように思います。
遠山:高橋さんが映像業界に入ってから映像業界も大きく変化したと思うのですが、業界外のわたしにもわかるように教えていただけませんか。
高橋様: 私が入社してからの40年間、この業界は大きく変化してきました。特に、アナログからデジタルへの転換は最初の大きな変革でした。家庭用の録画媒体としてVHS※1が主流だった時代です。アナログ時代の編集作業は非常に手間がかかり、さらにコピーを繰り返すと画質が劣化してしまうという課題がありました。
しかし、デジタル化によって作業効率は飛躍的に向上しました。劣化がないデジタルは編集作業がスムーズになり、演出の幅も広がりましたね。CG(コンピュータグラフィックス)を映像に取り入れるようになったのも、この頃の大きな変化のひとつです。
その後も業界の進化は止まることがありませんでした。現在では、データの管理や共有がクラウド上で簡単に行えるようになり、以前は数日、数時間かかっていた作業が瞬時に出来る時代となりました。当時は、情報を調べることも、映像を相手先に送ることも数日かけて行っていたことを思いだします。
また、誰もが高度な編集技術を手軽に扱えるようになったノンリニア編集は、私たちにとって本当に革命的でした。今やYouTuberが簡単に行っている編集作業も、昔は数千万以上の機材が揃った専用の編集室でしかできなかったものです。
さらに近年では、AI(人工知能)を活用した自動化が進んでいます。カメラの自動追尾やAI画像生成といった技術は、クリエイターを支えるサポートツールとして欠かせない存在になりつつあります。現在はあくまで補助的な役割ですが、近い将来、クリエイターに代わってAIがコンテンツを一から作り上げる時代が来るのではないかと感じるほどです。
※1 VHSやベータ方式:VHSは1976年に日本ビクター(現在のJVCケンウッド)が開発した家庭用のビデオテープレコーダーを使用した映像記録方式。1975年に誕生したソニーのベータマックス方式と熾烈なデファクト争いを繰り広げたが、結果的にVHSがビデオテープの主流の記録方式となった。一方、ベータ方式から策定された放送用規格「ベータカム」は20年以上にわたって世界の放送業界の標準方式となり、放送業界では長く貢献した。
遠山:映像配信のプラットフォームも大きく変わりましたね。
高橋様:僕たちが映像業界に入ったころは、映画館で見る映画以外に各家庭では地上波テレビくらいしか映像を見る機会はありませんでした。そこから、ビデオの普及によってビデオレンタルが始まったり、BSやCSなどの衛星放送が開始されたり、今ではネットによる配信が当たり前になりました。このようにプラットフォームが増えてきた中で、僕たちは常にそれぞれのプラットフォームに合わせた映像制作を考えなければなりません。これもまた大変なことの1つですね。
遠山:求められる映像に違いはあるのですか。
山本様:それぞれのプラットフォームで求められるものは当然違ってきます。例えばABEMAの場合は、「四六時中すべてのことをそこで伝えたい」という要望があります。そこで、将棋全対局中継とか、サッカー全試合中継など、常に情報を出し続けることになります。一方でSNSの場合は、いかに短い時間で簡潔に情報を伝えられるかが重要になります。画面も縦表示が当たり前になったり、コメント欄が盛り上がったりインタラクティブに視聴者と繋がることは従来の映像とは仕様が全然違いますね。
高橋様:編集のやり方も違いますね。昭和の時代は、映像にテロップなどの文字を見せるために「7秒間以上表示しないと読めない、読ませないと意味がない」と先輩からきつく言われたものです。もちろんテレビでは今でもその考え方は変わらないのですが、ただ今は、TikTokなどは「1カットは0.5秒でいい」等と言われます。テロップ表示も1秒から2秒もあれば十分。いかにインパクトを与え離脱しないような工夫を求められます。
映像が「お茶の間でみんなでじっくり見るもの」から「一人で、寝転がったり何かをしながら手元で見るもの」に変わりました。この変化は、作り手側も大きく変化させているように思います。
山本様:SNSなどを通じて誰もが映像を発信できる時代になって、最初の頃は企業のお客様から、あえて素人っぽい雰囲気の映像にしてほしいというオーダーをいただくことがあり、少し戸惑いました。最近はそうしたオーダーもある中で、しっかりプロのクオリティを発揮した映像も作っています。発信者側の性質と視聴者側のニーズの相性など一様ではなく、そうしたニーズにお応えするのも大変な反面、興味深い経験をしていると思います。
佐藤:コーポレートサイトのメインビジュアルの動画制作などにもご協力いただいていますが、仕事としてはいかがですか。
山本様:とても楽しかったです。個人的に"企業もの"の制作がとても好きですし、会社に入ったときからずっと携わってきたので愛着があります。Webサイトのメインビジュアルの仕事は初めてだったのですが、テレビや配信、SNSなどとは違って、映像が主役のようで主役でないという点も面白いですね。
高橋様:企業サイトでの公開を前提とした事業紹介やプロモーションの映像は、やりがいもあるし楽しいです。まだ我々にとって絶対数が少ないという点でも、いい経験になっています。企業もののWeb動画制作の需要は増えているようですし、YouTubeなどで検索しても、様々な企業が制作した映像が出てきていますので、ぜひそれらを自分たちの手で手掛ける機会を増やしたいです。
佐藤:Web向けの動画制作は他の動画制作と違うところがありますか。
高橋様:音声のない15〜20秒ほどの映像、繰り返し表示されること、映像が主役であって主役でないこと、映像以外の要素の中に溶け込む必要があることなど、従来の完パケ(※3)の作り方とは明らかに違いますね。意外と考えることが多いのも特徴かと思いますし、これまでと違う面白みがあるように思います。
※3 完パケ:「完全パッケージ」の略で、映像制作や音楽、ゲーム、部隊などで使われる言葉。映像の場合、映像編集、音声、色補正、テロップなどすべての作業が完了し、放送や配信に向けた準備ができた状態のデータを言う。
佐藤:映像制作業界とWeb制作業界の両方に関わってきた立場から振り返ると、私が関わっていた映像が広く家庭に広まった時代には、企業が様々なビデオを作る需要がありました。会社案内や記録ビデオだけでなく、製品の取説ビデオなどの制作機会も多くありましたし。その後のインターネット誕生の初期には様々な要因で動画の出番がなかったですが、通信環境の整備、YouTubeのようなプラットフォームの誕生、手軽でパーソナルな端末の普及によって、動画の存在意義が変わって、企業も再び動画活用に目を向けてくれたような気がします。映像は社会人としての私の原点でもあり、今のような環境は夢のようですし、そこでまた先輩や後輩といっしょに取り組んでいけるのは、とてもうれしいです。
大里:先ほど、高橋さんは「TSPは映像制作のすべてをワンストップで対応できる」とおっしゃっていました。アークコミュニケーションズもよく「ワンストップ」という言葉を使います。そして、ワンストップの価値とは"目利き"なのではないかと普段から思っています。当社には翻訳事業部がありますが、実は翻訳者はすべて外部のスタッフです。どの翻訳者に頼むかをプロダクトマネージャーやディレクターが"目利き"することで、翻訳の付加価値を高められると考えています。一方Web事業部では、依頼者となる企業のブランディングにおいて、動画をどういう方向に展開していくか当社が"目利き"するところに価値があると考えています。
佐藤:私たちはお客様の経営計画や統合報告書などを読み解いて、企業のブランドやフェーズから本質を導き出して高橋さんたちにお伝えし、それを映像としてどう落とし込むかという部分をお任せするという連携で協力関係を築いています。
高橋様:そうですね。わたしたちは一般の企業に対する営業活動や企業のブランディングを読み解く作業には慣れていないので、そこはお願いして、それをどんな動画にするのか、シナリオから表現手法について自信がありますので、今後ともそのようなコラボレーションでご一緒に取り組みたいと思います。
大里:本日は大変興味深いお話をありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
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