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Column
2016/01/06

英語の豆知識 第三回: 勢いを増す英語

英語の豆知識 第三回: 勢いを増す英語

アメリカにおける英語

前回の記事では英語の勢力を後押しするもののひとつにアメリカのラジオやテレビの放送がある事に触れました。放送を通してイギリスでは Received Pronunciation (誰もが「この話し方は素晴らしい」と思うようなアクセント:前回参照)が広まったように、アメリカでも放送を通して独特なアクセントが進化しました。これを「ネットワークスタンダード」と呼ぶ事があります。ニュース番組でのアナウンサーの話し方がその典型です。南部テキサスやブルックリンなどの発音から「いいとこ取り」をして、クリアで、知的で、ニュートラルな英語になるよう配慮されています。

アメリカ英語にも地域差による方言はあります(テキサス、フロリダ、ブルックリン、シカゴ、ワイオミングなど)。ただイギリスと異なるのは、アメリカには階級差の意味合いはない点です。アメリカの大統領は、出身地によって話し方が皆異なっています。リンカーン、ルーズベルト、ケネディ、カーター皆然りです。唯一、俳優やアナウンサーの経歴を持つレーガンだけは標準語、つまりネットワークスタンダードを話せた事で知られています。

レーガンは大統領になる前はカリフォルニアの州知事でした。カリフォルニアといえば、アメリカで3番目に大きく、人口 は米国最多(3,700万人, 2010年)を誇り、また経済規模はイタリア一国に匹敵するほどです。民族構成も白人、黒人だけでなく、ヒスパニック系、中国系、ベトナム系など様々です。特に60年代以降は、その文化やライフスタイルは憧れの的となりました。最先端の産業は一通りそろっており、原子力発電、石油、映画、宇宙研究、IT、そして最大級のメディアなど、その影響力は米国内には留まりません。

シリコンバレー

特にロサンゼルスを中心に発せられるニュースや情報は各地に飛び、カリフォルニア英語の拡散は世界に広がる英語の中でも最大級の勢力を持っています。「未来はまずカリフォルニアから始まる」とも言われ、そのカリフォルニアが言語に与える影響は計り知れません。

シリコンバレーのIT産業からは過去半世紀に数多くの新語が生まれ、英語圏に瞬く間に広まり、その拡散の仕方は言語学の教科書に載せても良い典型的なものです。さて、カリフォルニアはサンフランシスコから車で1時間ほどの所にあるシリコンバレーには数千のIT企業があり、AppleやGoogleやHPといった名だたる企業から、大手から独立したエンジニアや近くのスタンフォード大学出の秀才たちが立ち上げた零細企業までが揃っています。

この地はまた、英語にとっては業界用語の工場 (jargon factory) とも言えます。例えば、今では多くの人に馴染みのある下記のハイテクスラングはすべてこの地で生まれたものです。

interface (インターフェイス)
software (ソフトウェア)
input (インプット)
on-line (オンライン)
data-processing (データ処理)
high-tech (ハイテク)
computer hacker (コンピュータハッカー)
access (アクセス)
modem (モデム)

この様な言葉の知識があると IT リテラシーがある (computer-literate) と言われ、また生まれた時からインターネットやITの存在が当たり前の若い世代はデジタルネイティブ (digital native) と呼ばれたりもしています。

第三回: 勢いを増す英語

シリコンバレー(続き)

ITとは関係のない日常会話の中で この様なシリコンバレーのハイテクスラングが使われる様になると、英語という言語におけるこの新表現はさらなる広まりや定着が進む事になります。

新しい言い方      ※ 以下、例としてこの順で文を並べます。
(普通の表現 / 和訳)

He's an integrated kind of guy.
(He's got his act together. / 彼はしっかりしている。)

He doesn't have both drives on line.
(He isn't very coordinated. / 彼は自己管理が足りていない。)

He's a read-only memory.
(He never learns anything. / 新しいことを覚えてくれない。)

I'm interrupt-driven.
(My life is frantic, disorganized. / 私の人生は周りに流され制御不能です。)

He had a head-crash.
(He snorted too much cocaine. / 彼は薬をやり過ぎて壊れかけている。)

He's in beta-test stage.
(He's "wet behind the ears". / 彼はまだ未熟だ。)

また英語圏を席巻した IT 表現は他の言語にも浸透していきます。

フランス語
les applications batch (アプリケーションバッチ)
digitaliser (デジタル化する)
semi-conducteur (半導体)

ドイツ語
repeat funktion (リピート機能)
der Highbyte (上位バイト)
Resetknopf (リセットボタン)
der High-Speed-Prozessor-Bus (高速バスプロセッサ)

イタリア語
bufferizare (バッファする)
shiftare (シフトを押す)
hardwarista (ハードウェアデザイナー)
debuggare (デバッグする)
randomizzazione (ランダムアクセス)

こうしたシリコンバレーの話を聞くと、アメリカ英語がいかに苦もなく浸透していくかが垣間見えます。そして今では英語はその母国イギリスやアメリカというコンテキストを離れ、また国という枠組みをも超えて世界各地で共通語として使われるようになりました。大部分の人が第二言語として選択しており、その目的も様々です。日本の会社員がベトナムで仕事をするとき、ロシアの科学者がベルリンで研究活動を行うとき、アラブ人の医師がアムステルダムで医療活動を行うとき、タイ人のパイロットが北京の空港に降り立つとき、等々、違う国の出身者たちが出会うと、まずは英語で話しかけます。

英語はこの世界の果てを超えても通じるのでしょうか。
1973年に打ち上げられたボイジャー1号にはゴールデンレコードが積まれており、国連事務総長(クルト・ヴァルトハイム / Kurt Waldheim)による英語での挨拶が記録され、宇宙人!に向けても英語で情報発信されました。

As the Secretary-General of the United Nations, an organization
of a hundred and forty-seven member states who represent almost all
of the human inhabitants of the planet Earth, I send greetings
on behalf of the people of our planet
-----------------
惑星地球に住むほぼすべての人類を代表する147の国が組織する国際連合を代表し、
事務総長である私からこの惑星に住む人々を代表してご挨拶させていただきます。

担当:翻訳事業部 伊藤

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