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中国語の豆知識 第2回:ふたつの流派がある中国の文字
前回から始まりましたこのコラム。連載二回目の今回は、前回の終わりに少し触れた中国語の「簡体字」「繁体字」の違いについて、できるだけわかりやすく説明していきたいと思います。
簡体字のはじまり
中国語はもともとすべて「繁体字」で表記されていました。しかし20世紀半ばに中華人民共和国が成立すると、国家として文字を広く国民に普及させようという流れが起きました。しかし「繁体字」は習得するにはかなり難解な文字であったので、国民の負担を少しでも減らそうという意図の下、1950年代に「簡体字」が考案されたのです。簡体字と繁体字の違い
中国に皇帝がいる時代から長い間使い続けられてきた「繁体字」と、皇帝がいなくなってからできた新しい「簡体字」。この2つは何が違うのでしょうか?「簡体字」という文字の名前からも想像できるとおり、簡体字は繁体字を簡略化したものです。そして画数が減らされた結果、見た目は元の文字とはかなり違うものとなっていますが、確かに簡単に書けるように変化しています。では、どのぐらい違うのか、違いがはっきりわかる例を挙げてみましょう。簡体字:
繁体字:
(日本語:台湾、数学、広東、歓迎)繁体字の現在
さて、「簡体字」と「繁体字」は、どのように使い分けられているのでしょうか。現在「簡体字」は中国とシンガポールで使用されており、「繁体字」は香港・マカオ・台湾で使用されています。特に台湾の場合、「簡体字」は中国共産党の象徴と考えられているためか、この簡体字使用が認められていません。そこで伝統的な「繁体字」を今でも使い続けているのです。政治的な理由で、文字の運命がふたつに分かれてしまった…。そう考えると、何か感慨深いものがありますね。次回予告
簡体字と繁体字の違い、おわかりいただけたでしょうか?次回は中国語の「書き言葉」と「話し言葉」による違いを、わかりやすく実例を挙げてご紹介していきます。どうぞお楽しみに!担当: 翻訳事業部 伊藤
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バックナンバー
- 中国語の豆知識 第2回:ふたつの流派がある中国の文字(2011年春号)
- 中国語の豆知識 第1回:中国語の多様性(2010年冬号)