翻訳発注者心得その1最適な翻訳者を選ぶ|翻訳会社ブログ

翻訳発注者心得その1最適な翻訳者を選ぶ

翻訳発注者心得その1 最適な翻訳者を選ぶ

翻訳の品質は、実は翻訳する前にすでに大半が決まってしまいます。なぜなら、品質を決める決定的な要素に、最適な翻訳者のアサインがあるからです。このもっとも初期の選択を誤ると、その後、発注者と翻訳会社、翻訳者の間にある意識のズレが次第に拡大し、最終的に大きな失敗となって帰ってくる可能性があります。それでは、どのようにすれば、最適な翻訳者を選ぶことができるのでしょうか?

ここでは、この課題について、翻訳会社の立場から、ご説明していきたいと思います。

翻訳者選定の上で必要な4つの情報

翻訳の発注者は、直接、翻訳者を選べるわけではありません。通常、翻訳会社の窓口となるのは、「プロジェクトマネージャー(翻訳コーディネーター、営業)」と呼ばれる人たちで、翻訳プロジェクトの相談・受注から、翻訳者や翻訳チェッカーのアサイン、スケジュール管理、品質管理、請求まで、すべての翻訳プロセスを管理・進行する立場にあります。

今回は、そのプロセスの中でも、翻訳の品質を左右する翻訳者のアサインについてご説明します。翻訳会社のプロジェクトマネージャーは、何百人という翻訳者を管理しており、その得意分野や翻訳の特性について熟知しています。このため、発注者としては、このプロジェクトマネージャーが翻訳者をアサインする上で、もっとも適切な判断を下せるように情報提供することがポイントになります。

それでは、プロジェクトマネージャーが翻訳者をアサインする際に必要な情報は何でしょうか? それが以下の4つの情報になります。

(1)翻訳するドキュメントの内容

(2)ドキュメントを読む読者像

(3)ドキュメントの使用目的

(4)期待される仕上がりのイメージ

それでは、それぞれの内容について解説します。

(1)翻訳するドキュメントの内容

プロジェクトマネージャーは、まず、翻訳するドキュメントの内容によって対応する翻訳者を絞り込みます。ここ最近では、翻訳者の得意分野が細分化し、その分翻訳レベルが高まっているため、翻訳発注者としては、できる限り細かく、そのドキュメントの内容を伝えることが高品質化の上で必定となります。

例えば、単に「通信」分野と説明するよりも、「移動体通信」「光通信」「LAN」などもう一段深い分野を伝え、さらに、ドキュメントの目的を「マニュアル」とだけではなく、「業務パッケージのインストールマニュアル」や「ネットワーク設定マニュアル」などと、もう一歩踏み込んで説明することが効果的です。

プロジェクトマネージャーはそれらの情報を受けて、翻訳者の得意分野や経験などに照らし合わせて、翻訳者をアサインします。ですから、情報を詳細かつ具体的に伝えることが、その翻訳プロジェクトを成功に導くための最初のポイントになるのです。

(2)ドキュメントを読む読者像

次に、翻訳したドキュメントを誰が読むのか、という情報が、翻訳者選定上の重要な判断基準になります。例えば、薬に関する翻訳において、プロフェッショナルな医療従事者(医者など)が読むのか、一般消費者が服薬するための前知識として読むのかによって、翻訳の仕方は大きく変わります

翻訳者には、専門用語を駆使してプロ相手に翻訳することが得意な翻訳者もいれば、初心者にわかりやすい言葉で説明することが得意な翻訳者もいます。また、対象読者が子供か大人かによっても翻訳の仕方が異なるのは、容易に想像できるでしょう。読み手が誰なのか、具体的にプロジェクトマネージャーに伝えることが、結果的にドキュメントの高品質化に役立ちます。

(3)ドキュメントの使用目的

ドキュメントの目的が、例えばプレスリリース向けなのか、マニュアル向けなのかによって、アサインする翻訳者は異なります。プレスリリース向けの場合は、メディアに訴求力を持つキャッチーで豊かな表現が得意な翻訳者が最適です。一方、マニュアル向けでは、文章の表現力よりも技術の理解度や正確さが優先され、専門的な翻訳が得意な翻訳者を選ぶことが結果的にドキュメントの質を高めます。

また、こうした情報は、プロジェクトマネージャーが予算と納期のトレードオフを考慮する際にも、判断の手助けになります。目的次第で、予算優先、納期優先、品質優先など、翻訳者の特性を見極めながら、プロジェクトマネージャーが品質・スケジュール管理と合わせて最適なプロジェクトを作り上げるからです。

(4)期待される仕上がりのイメージ

最終的な納品のイメージは、できる限り正確に伝えてください。発注者と翻訳会社が思い描いていた翻訳物の仕上がりの間に、残念ながらズレが生じてしまうこともあります。これは、事前に仕上がりイメージをプロジェクトマネージャーとしっかり共有できなかったことに起因する場合がほとんどです。

では、どのようにすれば、意識のズレを防ぐことができるのでしょう? 一番確実なのは、翻訳会社に仕上がりのサンプルを示すことです。翻訳物が例えばパンフレットであれば、参考となる自社製品や他社製品のパンフレットを提示することが早道です。サンプルが無ければ、仕上がりイメージを口頭や絵で伝えるのも手です。その際には、感覚的でも構いませんので、「こんな感じ」ということをハッキリ、プロジェクトマネージャーに伝えましょう。

関連サービス

このページの先頭に戻る