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まったく新しい会社のまったく新しいブランドを作る - 日産自動車・三菱自動車の合弁会社 株式会社NMKV
日産自動車と三菱自動車は、日本の自動車業界ではじめて、共同出資の合弁会社、株式会社NMKVを設立しました。軽自動車の企画・開発に特化した会社として設立された同社ですが、第一弾となった「デイズ(日産自動車)」「eKワゴン(三菱自動車)」の成功で、その枠にとどまらない活躍が期待されています。 この新しい会社の誕生にあたって弊社はWebサイト構築のパートナーに選ばれ、無事サイトを公開しました。
今回は、この興味深い試みの中で、経営企画の立場でビジネスを推進し、また、Webサイト構築のキーマンとしても活躍されたお二人、経営企画グループ中澤範行様(三菱自動車出身)と髙濵圭裕様(日産自動車出身)に、ビジネスのこと、Webサイト構築のことをお伺いしました。
【プロフィール】中澤 範行氏
株式会社NMKV 経営企画グループ ゼネラルマネージャー髙濵 圭裕氏
株式会社NMKV 経営企画グループ マネージャー大里 真理子
株式会社アークコミュニケーションズ代表取締役佐藤 佳弘
株式会社アークコミュニケーションズWeb事業部長第一弾車種の成功について
大里:NMKVの第一弾となった「日産自動車・デイズ」「三菱自動車・eKワゴン」の大ヒットおめでとうございます。まずは、お二人に今回の大ヒットをどう受け止めたかお教えください。
中澤氏:日産と三菱がはじめてひとつになってモノづくりに取り組もうというプロジェクトでしたから様々な苦労はありましたが、まずは、期待された結果を出せたと思います。両親会社からは「合弁会社の成功」や「NMKVの発展・強化」などという表現がオフィシャルなコメントとしてでていましたし、ほっと一息といったところです。
髙濵氏:日産自動車では国内営業を担当していて、打ち手としての軽自動車には非常に注目していました。ですから、営業的な感覚で日産と三菱が組んだら絶対売れると思いましたし、実車をみたときにはさらに、それを確信しました。結果は予想通りで安心したのですが、このポテンシャルならもっと上を狙えるはず、次は超のつく大ヒットを目指したい、という思いがいっそう強くなりました。
日産・三菱・NMKV 3社で高い付加価値を作る仕組み作り
大里:クルマのスタートは順調でしたが、会社としてのNMKVは、同じ業界であってもこれまでつながりのない会社同士の合弁会社です。いろいろとご苦労もあったことと思いますがいかがでしょうか。
中澤氏:NMKVで仕事ができることについて、個人的に、三菱以外を知ることができますし、三菱を外から見ることができるユニークな機会が得られると大変期待していて、結果、まさにそういう場所だったと思っています。日産・三菱にとってはWin-Winの関係を築くことが大前提で、この関係を充足させることを前提に常に物事を判断していく難しさがありました。一方で、両親会社単独では成し得ない付加価値の高い成果を期待され、プレッシャーはありますが緊張感のあるやりがいを日々感じています。NMKVは白紙の状態ですから、そこからふたつの大きな意思決定プロセスを持つ関係を調整し、成果を生む仕組みを作るのは非常に難しい仕事でしたね。
大里:それをどのように動かされたのでしょうか。
中澤氏:まず、内外にNMKV設立の狙いとして、「従来の枠にとらわれないこと」「1+1を2以上にすること」「スピーディな意思決定すること」の主に3つを発表しました。そしてそれに基づいて何をするかを徹底的に考え、実践することにしました。会議体を作り、そこで自分たちなりの考え方や立ち位置、意思決定をしっかり行いました。何しろ巨大な企業が2つ控えている環境ですので、私たちなりの視点がないと、それぞれの意思の間で行ったり来たりするしかなくなります。こうした取り組みの結果、NMKVとして明確な指針を持った判断が下せるようになり、スムーズに物事が進行しはじめ、同時に高い付加価値を与えることができたと思っています。Webサイトに、左右にある大きな2つの歯車の間にある小さな歯車の図が掲載されていますが、まさにこの小さな歯車こそNMKVとしての役割の象徴です。おそらく2社だけのプロジェクトではできないことですし、NMKVとして役割を発揮できたのではないかと思っています。
NMKVをもっともよく知るパートナーに
佐藤:Webサイト制作の議論の中でも、NMKVの役割について、という議題で制作会議の半分以上を費やした印象があります。
中澤氏:それまで業務に追われていてなかなか社内でNMKVのブランドについて議論する機会がありませんでした。そこで、Web制作を重要なプロジェクトと位置づけて、外部の力を借りつつ「NMKVとは何か」を整理しようと考えました。ですから、私たちの業務を理解し、共に考え、それを具体的に言葉やビジュアルで表現できる会社、という基準でパートナーの選定を行ったんです。
佐藤:オリエンテーションでクルマのビジュアルは使えない、でもクルマの会社であることをアピールしたい、と言われたのがとても印象的であると同時に、これは大変だな、と正直思いました(笑)。非常に戸惑いましたが、同時にこれはやりがいがあるな、と気合いが入りました。
髙濵氏:何社にもお会いしましたが、私たちのオリエンテーションやWeb制作要望に込めたニュアンスを一番正しく理解し、表現してくれたのが御社でした。中にはおっしゃっていただければ何でもします、受け入れます、というアプローチの会社もあったのですが、それは私たちの望んでいることではありませんでした。御社は逆に、私たちの要望を正しい正しくないとジャッジしながらいい方向に進めようというアプローチをされてきたので、これはきっといいキャッチボールができるな、と直感しました。
大里:ご期待・ご要望に添ったプロジェクトになったでしょうか。
髙濵氏:プロジェクトは期待通りでした。漠然としたイメージで会議に入り、会議を終えるとそれがすっきりします。翌週にはそれが具体的な形になって「ああ、こう考えていたのか」と発見しつつ、また新たな課題が見えてくる。そんな繰り返しでしたが、こういうプロセスが大切だな、と痛感しました。
中澤氏:Webサイトは、社内でも両親会社でも、多くの方たちから好評をいただいています。また、オフライン式のメディアセッション資料の翻訳をお任せした時にも、内容を確認したCEOから「アークに頼んでよかった」という言葉がありました。NMKV社外で一番NMKVのことを理解してくれているパートナーだと感じています。
NMKVの未来-日本の軽自動車を超えて
大里:最後に、NMKVが目指す将来像をお聞かせいただきたいのですが。
中澤氏:まずは国内での評価を定着させることが目標となりますが、これから様々な展開が考えられると思っています。日産・三菱とくれば、誰もがEV車を期待されるでしょう。軽自動車というと燃費性能の向上が求められる風潮ですが、それだけでは限界があります。EVは、特に環境負荷軽減など、さまざまな問題を解決する可能性を持っていますので、ぜひ取り組みたいですね。それと同時に、グローバル化が重要な課題です。日本独自の規格である軽自動車がグローバル、というと少し不思議かもしれませんが。
佐藤:素人考えですが、普通は軽自動車を質感の高いものにするという発想から始まると思うのですが、NMKVの場合は、登録車品質の一番小さな車を作ろうとしたらそれが軽自動車の規格だったという、いわば普通と逆の発想をもっておられるように、会議や取材などを通じて感じました。
髙濵氏:そういう面はあると思います。私たちが企画・開発するクルマは国内仕様、そこでしか通用しないというものではないと自負していますし、日産・三菱のリソース力・技術力をもって、広くグローバルに展開してみたいという思いが強くありますね。
中澤氏:NMKVは今の段階ではまだ黎明期で、成熟期はまだまだ先にあります。ですから、さまざまなチャレンジを続けていきたいですし、両親会社からもそれを期待されていると思っています。
大里・佐藤:今日はどうもありがとうございました。
株式会社NMKVからのプレゼント今回、株式会社NMKV様からのご厚意で、「日産自動車・デイズ」「三菱自動車・eKカスタム」のミニチュアカー(ダイキャストカー)を各一台ずつプレゼントいたします。
プレゼントのご応募はこちらのページからお願いいたします。 -
バックナンバー
- まったく新しい会社のまったく新しいブランドを作る - 日産自動車・三菱自動車の合弁会社・株式会社NMKV(2013年冬号)
- アジアでナンバーワンのビジネススクールを目指して - グロービス経営大学院[英語版](2013年夏号)
- ビジネス書翻訳のプロフェッショナルに聞く[英語版](2012年冬号)
- アビタスが次に考える、グローバル人材[英語版](2012年夏号)
- シックス・アパートが展開するプラットフォームビジネスを聞く[英語版](2011年冬号)
- グローバル企業のインナーコミュニケーション戦略[英語版](2011年夏号)
- 外国語サイト制作/Webサイト翻訳[英語版](2011年春号)
- グローバルサイト/多言語サイト・ソリューション[英語版](2010年冬号)
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